その二 ページ4
どろろから受け取った沙世は「ふー…ふー…」と息を吹いて焼き魚を食べれるぐらいに熱を覚ます。
「はい、ここにあるよ」
そう言って沙世は青年に持たせる。受け取った青年はそれは焼き魚だと分かったのか食べ始めた。
その様子にどろろは本当に見えてなそうに思ってきたようだ。
「な、アンタはその腕金にしねえか？おいらに任せりゃ絶対稼げる!お大臣だって夢じゃねえ！アンタだってそう思っているから追い払わねぇんだ！それに沙世姉ちゃんも！」
「私？」
その言葉に沙世はキョトンとする。
「だってあんなにデカい奴倒したんだぜ!?」
「う、うーん。私はただ妖怪退治をするために学んだから稼ぐのはないなー」
「えー」
こうして三人。というより沙世とどろろは寝た。ぐっすりと寝る沙世とどろろ。するとどろろの様子がおかしい。何か魘されている。それに気づいた沙世はどろろの傍による。
「やめろ…やめてくれ…」
「どろろ！どろろ！」
沙世が大きい声を出しながらどろろを揺らすと「おっかちゃん！」と勢いよく起きた。
「どろろ大丈夫？魘されていたけど」
不安げにそう聞く沙世。青年もどろろを見ていた。
「なんか寝言言ったかい？」
恐る恐る聞くどろろ。沙世は触れてほしくないと分かったのか「小さすぎて何言ってたかわからなかった」と言う。青年は元々聞こえない。それを聞いたどろろは安心したようだった。するとどろろは気晴らしに「名前くらい教えてくれよ」と青年に話しかける。青年に近づいたどろろは彼の右手を自分の左頬に当てる。
「おいらはどろろだ。どーろーろー！ほら、沙世姉ちゃんも！」
「私も？それじゃあ……私は沙世ですよー」
そう言って青年の左手を自分の右頬に当てる。
「あんたは？」
どろろは青年の手を彼自身の頬に当てる。しかし青年は答えてくれなかった。
「いいや、もう名無しの権兵衛で！おやすみー」
そう言って寝っ転がるどろろ。今度はちゃんと眠れそうだ。
「……おやすみどろろ。お兄さんもおやすみなさい」
青年の頬を優しく撫でた沙世も横になった。二人の様子に青年はただ静かに見ていた。
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作者名：AYAAYA | 作成日時：2019年2月24日 21時
