その三 ページ27
まさかの人攫いだった。曰く夜な夜な村人が居なくなるそうだ。そのため見張りに怪しい奴を見かけたらすぐに知らせてくれとお願いされた。こうして三人はやっと村へ入る。寝る場所はさびれた神社だ。
「ヒトが消えるってのは、オイラ絶対あの蜘蛛のバケモンのせいだと思うんだ」
「可能性高いね。どこかに閉じ込めてそう」
どろろの言葉に沙世は同意する。以前もう一人の兄弟子からの文に”人を閉じ込め、好きな時に食う鬼と戦った”と書いてあったからだ。どろろはいつもの様に妖怪退治をやって褒美を貰おうと提案する。でもそれだけじゃない。もしかしたら百鬼丸の気晴らしになるかもしれないから。そして三人は寝ることにした。翌朝、三人は村を散策する。村は寂れている場所が多い。
「田畑に作物なんもねえ…、兄貴ぃ、沙世姉ちゃん。この村食いモンは難しいかもなあ」
「この村は石切でなりたっているみたいだね。食べ物は木の実になりそう」
どろろの言う通り、田畑に作物がなく、沙世の言う通り、食事は木の実になりそうだ。
話しながら歩いていると何やら人が集まっていた。どろろは近づく。当然、字は読めないので近くにいる男性に「あれなんて書いてあるんだ?」と聞いた。
「人攫いを捕まえたら褒美をくれるとさ。」
しかし彼曰く一向に捕まらないらしい。沙世は蜘蛛女の可能性がさらに上がったと思った。どろろも自分の思った通りになってきたため、「褒美はいただきだな♪」とご機嫌になる。
それを聞いた。
「なんだ坊主。心当たりがあるのか?」
どろろの言葉に興味を持った男性は聞く。
「首突っ込まないほうがいいぜ? なんせ相手はバケモンなんだから♪」
「バ、バケモノ!?」
まさか心当たりが化け物だとは思わなかったようだ。
「どろろ。恐がらせたら駄目だよ」
沙世に言われ、どろろは「はぁい」と答える。百鬼丸はいつも通り。三人の様子に男性はただ茫然を見るしかなかった。
「あ、仕事に行くんだったな!じゃあな坊主たち」
男性は慌てて石切場へ向かった。
「沙世姉ちゃん、これからどうする?」
「そうだね。もう少し村を散策しつつ木の実とか食べれる物探そうか」
沙世の言葉に「それもそうだな」とどろろは頷く。
*
夕方
「姉ちゃーん、兄貴―!いっぱい見つけたぜ」
「ホントだ!私負けちゃった。」
そう言って沙世は採った木の実を見せる。どろろが取ってきたのより量が少なめだった。沙世に勝ったことにどろろはご機嫌になる。
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作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時