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絡新婦の巻 ページ25

「なあ兄貴、沙世姉ちゃん。腹減ってねえか?」
「ん〜私は減ってないなー。百鬼丸兄さんは?」

どろろと沙世は百鬼丸に話しかける。しかし百鬼丸は無言。懐にあるお守りを握りしめていた。沙世の兄弟子、錆兎の言葉を心に刻んだようだ。立ち直るのはもう少し先になりそうだ。なんとかしてやりたいどろろはあることをひらめいた。

「そういや兄貴って笑った事ねえよな」
「?」

どろろの言葉に沙世は疑問符を浮かべる。どろろはにやつきながら百鬼丸の脇腹に手を伸ばす。

「うりゃりゃりゃりゃ!うりゃりゃりゃりゃ!」

くすぐり攻撃だ。こうすれば笑うだろうと思ったようだが……

「………」

無反応だった。その様子に不満げになる。どろろは沙世に「どうやったら笑うと思う?」と聞いてきた。

「え?……百鬼丸兄さん!」
「?」

沙世は心を落ち着かせた後、百鬼丸に言う。

「鮭大根好き!?」
「……?」

いきなりの鮭大根発言に百鬼丸はなんだそれはと言う感じになり、どろろは「なんで鮭大根なんだよ!?」とツッコむ。

「も、もう一人の兄弟子は鮭大根を食べたら笑うからつい…。」

沙世曰くもう一人の兄弟子は人情家だが表情をあまり出さないため、誤解されやすいらしい。しかし好物の鮭大根を食べるとご機嫌になり、微笑むそうだ。

「一生むっつり顔のままになっちまっても知らねえんだからっ」

とりあえず百鬼丸を笑わせるのはまだできない。どろろは不満気に、沙世はどろろに「ごめんねー」と謝りながら歩く。すると誰かの声が聞こえてきた。聞こえてきた内容はいわゆるアレな内容。沙世とどろろはだんだん赤くなる。

「子供もいるのにこんなことするなんて…」
「こんな山ン中でナニしてやがんだ!?」

沙世はお面で真っ赤な顔を隠し、どろろは「熊に食われちまえ!」と周りに石を投げる。
カタン

「いった!」
「え?」

どろろの頭に旅人が使う杖が落ちる。2人が上を見上げれば…

ドシン
「「わあ!?」」

今度は荷物が落ちてきた。一体どういうことなのかよく見ると…

「い!?」「蜘蛛!?」

蜘蛛女が男性をグルグル巻きにしていたのだ。それ見た沙世と魂の色でわかった百鬼丸は刀を抜き、木を駆け上がる。

(水の呼吸・弐ノ型 《水車》)

沙世はどろろと百鬼丸と出会ってすぐの時に披露した技で、百鬼丸はいつもの二刀流で男性を救出する。百鬼丸は木の上に着地し、地面に着地した沙世は「その人は!?」とどろろに男性の容態を確認した。

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作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時

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