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その六 ページ19

「そうだわ、今夜薬もらってくる」

「え?食事もそうですけど薬まで…」
「困ったときはお互い様よ!じゃあ仕事行ってくるね」

沙世の言葉にミオは部屋を出る。すると百鬼丸は起き上がり、「待ってくれ」と言う風にミオに手を伸ばした。しかし声が出ないため、気づかない。

「百鬼丸兄さんどうかしたの?」

沙世の問いに百鬼丸は寂しいと言う感じの表情になる。

「兄貴―!もうちょっとしたら夕飯だってさー!」

どろろの声には耳を塞いだ。その様子に沙世は苦笑い。するとだ。

ー赤い花積んであの人にあげよう あの人の髪に この花挿してあげようー

(綺麗な歌)

確かに誘われてもおかしくない綺麗な歌声だ。実際、百鬼丸は手を伸ばす。彼女の歌声が聞こえなくなると百鬼丸の表情は寂しそうになる。沙世は自分の両手を百鬼丸の両頬に触れた。

「百鬼丸兄さん、ミオさんが帰ってきたら、歌をお願いしてみる?」

その問いにコクと頷いた。

「決まりだね。さっきどろろの言った通り、そろそろご飯だけど食べれる?」

きゅ〜…

百鬼丸のお腹から聞こえた。

「それじゃご飯にしようか。どろろ、手伝ってくれるかな?」
「うん」

沙世の問いにどろろは小さい声で答えた。



翌朝、彼女の歌声が外から聞こえた。百鬼丸はいつの間にかいない。どうやら朝一番に出迎えし、身振り手振りでお願いしたようだ。

「早いなあの人は」
「? 沙世姉 どうしたんだ?」

その様子に沙世の手伝いをしているタケが言う。

「なんでもないよー」

そう言っていると「沙世姉ちゃん!タケ!」と百鬼丸を探しに行ったどろろが戻ってきた。

「お坊さんが戻ってきたんだ!良い話と悪い話があるって」
「「?」」

こうして沙世達は坊さんの話を聞くことになった。なんでも獣道に小川があり、食べれる木の実があり、土の状態が良い土地があったらしい。戦が起きても焼け出されることもないそうだ。それを聞いたタケは「そこに住もう」とミオに薦める。もうすぐ起きるであろう戦にここも危ないかもしれない状況になっている。でもそこに行けば安心して暮らせるからだ。しかしだ

「喜ぶのは早いよ?実はその土地には大家がいるのさ」
「まさか妖怪ですか?」

沙世の問いに坊さんは「いや違う」と言う。鬼神がいるのだ。しかも迂闊に手を出したら危ないほど。これが悪い話だ。すると百鬼丸は立ち上がり、外に出た。鬼神退治に行くつもりだ。

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作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時

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