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六拾肆 ページ18

風がそよいで木の葉を躍らせるその音が、やけに大きく鬼の鼓膜を揺らす。



「美人ならァ…大人も子どもも関係ねェ…
……てめェ…本当に男かァ……?」

『ちゃーんとした健全男子やけども…最後に言うことそれか?えらいけったいなこと言うんやねぇ、鬼ぃさん』

「斬るってのかァ……?」

『せやねぇ。
……鬼ィサン。静柱に出会えた事、ありがたく思っときや』



目の色を変えた鬼。
対峙したAはその鬼を見つめながら刀を一気に引き抜いた。紺碧の刀身が、仄かな月明かりを受けて光を放つ。
深く息を吸って迫り来る鬼に目を細めると、Aはグッと自分の右脚に力を込めた。








静閑の呼吸 壱ノ型

【深閑】









━━━━━━━━━━━━━━━━━━






周りの音が急に消えた。
なんだ……?周りの音が何も聞こえない。

しかも辺りは暗闇だ。まるで俺だけの世界だった。









……いや、違う。
奥の方に誰か居る。









「……うぅ…………っ……」








(……っあれは、)








女だ。
それはそれは可憐で、儚くて、綺麗な女だ。
泣いているが美しさは失われることを知らずに、寧ろ増している。








「…………待っててね…今、お母さんもそっちに行くからね…………?」








声をかけたいと思った。
だが、どれだけ声を出そうとしても、思ったように出なかった。
絞められたような、苦しい音が口から漏れるだけだった。







何故だ?
何故、この女に声をかけたいなど思う?
何故、食いたいとは思わぬ?




何故、女の握った刃物を叩き落としたいなどと思うのだ?









「____…」









女が何かを呟いた。
高く上がった刃物の鋒に光が反射し、憎らしいほどに鋭く俺の目を刺す。


途端に俺の背に冷たいものが走った。
全身の血が逆流するような気味の悪い感じが体中を駆け巡る。

六拾伍→←六拾参



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設定タグ:鬼滅の刃 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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karion(プロフ) - こんなに感動したのは久々で思わず泣いてしまいました(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)続き楽しみにしています(≧∀≦) (5月19日 17時) (レス) @page50 id: d59aca9a13 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - トカゲさん» ありがとうございます!ただいま制作中ですので、お楽しみに!! (2020年5月14日 17時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)
トカゲ(プロフ) - すごい面白かったです!!続きが気になっております!続編頑張ってください! (2020年5月10日 22時) (レス) id: 8140af0e98 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - スリーパー(?)さん» 涙まで……!!ありがとうございます、本当に嬉しいです!更新、頑張りますね!もう少し、静柱のお話にお付き合いよろしくお願いいたします! (2020年4月28日 15時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - 雪もちさん» その言葉だけでも励みになります!ただいま下書きに勤しんでいますので、今後も応援のほど、よろしくお願いいたします! (2020年4月28日 15時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:タロ。 | 作成日時:2019年10月20日 19時

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