廿捌 ページ29
しかしそれがいけなかった。
当時のAは今ほど穏やかではない。
年頃もあってか、そのしのぶの反応は寧ろAの加虐心を煽るものでしかなかった。
ニヤリと意地悪く口角を上げたAは、しのぶの頬に右手を添えてそっと自分の方へと向けると無理矢理に目を合わせる。
『なーんでそないに目ぇそらすん?
……あれ、よぉ見たら別嬪さんやんか』
「……やめろ!」
パシンと手を振り払われたAは、アハハと声を上げて笑うと悪びれもせずに身を起こしてしのぶに謝った。
『いやぁすまんて。そないに怒らんといて?可愛ええのはホンマなんやから』
「っ何を!」
「あら、Aさんじゃないですか」
『おぉ、カナエやん。任務一緒やって聞いた?』
Aを睨みつけるしのぶの後ろから歩いてきたのは、探していた胡蝶カナエである。
顔立ちこそしのぶに似ているが、その立ち振る舞いはどちらかというと正反対。
おっとりと優しい笑みをAに向けたカナエは、しのぶの方を見て首を傾げた。
「あら?しのぶ、どうしたの?」
『なんや、その子しのぶって言うんか。カナエの妹?』
「そうですよ〜」
「っ姉さん、この男…!」
『閼伽A言います〜。よろしゅうね』
眉間に皺を寄せたしのぶ。
姉の態度がいつもふわふわとしているのは知っている。だがこのちゃらんぽらんとした男が、日頃から姉が口にしている【Aさん】なのだと思うとしのぶは腹立たずにはいられなかった。
カナエはAに微笑む始末だ。
ーーーーーーーーーー助平男が……!
心の中でしのぶは悪態をつきながら、Aを睨みつけるのである。
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隆弘 - 誕生日一緒だァァァァァ⁉︎今日から読み始めるので楽しみって感じです‼︎ (2022年7月25日 0時) (レス) @page1 id: 4c1fa166fb (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - 拙い説明で申し訳ありません……!ですが、ありがとうございます! (2020年1月21日 18時) (レス) id: a185b79d93 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - ルルさん» ご指摘ありがとうございます!紛らわしい書き方をして申し訳ございません…あくまで、炭治郎には火の呼吸という認識をワザとさせています。その後の閼伽が「日…ではない」と語っていますので、ここの間違いは意図的となります (2020年1月21日 18時) (レス) id: a185b79d93 (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 珊しちでした (2020年1月21日 17時) (レス) id: 2200c5b181 (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 珊じゅう話の炭次郎が言ってる呼吸が日の呼吸ではなく火の呼吸になってます (2020年1月21日 17時) (レス) id: 2200c5b181 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タロ。 | 作成日時:2019年9月25日 21時