拾玖 ページ20
「あの、Aさん!」
寝台でうつ伏せになるAに声をかけているのは、炭治郎である。
『…………』
「……Aさん?」
『…………』
……死んでる?
炭治郎は一瞬不安になった。相変わらずAからは匂いがしないため生死が分からない。
ただ、ちゃんと背中辺りが動いているので息はしている様子だ。
Aは、しのぶに連敗中でご傷心である。
かろうじて生きてる……
それを確認して安心してから炭治郎はAの肩を揺すった。
『……俺今死んでるねん、たんじろー』
枕に顔をうずめたままAはそう言うも、炭治郎は諦めない。
「生きてますよね??聞きたいことがあるんです起きてくださいAさん」
『聞いとる?俺、今、死んでる』
「死んでたら話せませんよ」
ほら早く起きてください!と強引に炭治郎はAの体を起こす。その光景はまるで介護だ。
「何に落ち込んでるのか知りませんけど、しっかりしましょう!!」
『たんじろー、忘れとるんか知らんけど俺一応柱な?たんじろーの上司やからな?』
「だとしても頼りなさすぎます」
間髪入れずにハッキリと言い放った炭治郎。
『……しーちゃんに似てきたんか?』
ブツブツと呟きながらAは考え事をしている様子。不思議そうにAを見ながら、炭治郎は落ち着くまで待とうと黙り込んだ。
『……んで、俺に聞きたいことって?』
「全集中の呼吸、常中のことです」
既に、善逸と伊之助が戦意を失って機能回復訓練に参加していないことをAは知っていた。それに加えて、炭治郎が1人でカナヲに挑んでいることも。
結局行き着くのは呼吸法か、とAは一人で納得すると、寝台に横向きに座って足をおろして炭治郎に向き直った。
「Aさんも、常中をしているんですよね?」
『せやなぁ』
「その…どうやって…?」
至って単純な炭治郎の疑問。始めるにしろ何にしろ、根本的はなやり方が分からないのではどうにもならない。
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隆弘 - 誕生日一緒だァァァァァ⁉︎今日から読み始めるので楽しみって感じです‼︎ (2022年7月25日 0時) (レス) @page1 id: 4c1fa166fb (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - 拙い説明で申し訳ありません……!ですが、ありがとうございます! (2020年1月21日 18時) (レス) id: a185b79d93 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - ルルさん» ご指摘ありがとうございます!紛らわしい書き方をして申し訳ございません…あくまで、炭治郎には火の呼吸という認識をワザとさせています。その後の閼伽が「日…ではない」と語っていますので、ここの間違いは意図的となります (2020年1月21日 18時) (レス) id: a185b79d93 (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 珊しちでした (2020年1月21日 17時) (レス) id: 2200c5b181 (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 珊じゅう話の炭次郎が言ってる呼吸が日の呼吸ではなく火の呼吸になってます (2020年1月21日 17時) (レス) id: 2200c5b181 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タロ。 | 作成日時:2019年9月25日 21時