【鬼滅の刃】静柱は騒がしい。

拾捌 ページ19

柔軟の次には鬼ごっこだ。




「始めっ！」

『はーい、しーちゃん捕まえた』

「…………」

『ｺﾞｪｯ』



秒で捕まえてしまうA。
しのぶに後ろからの抱擁をすると、腹に肘鉄を食らっていた。

なんでやしーちゃん！！捕まえられたらなんでもええんちゃうんか？！と涙目で抗議するAに対して、しのぶは「合法です」と交わしていく。



「……あの二人、なんやかんやで仲いいよな」

「善逸もそう思うか？俺もだ」

「早ぇ……」

「3人も訓練に戻ってください、見とれてないで！！」



アオイの怒号が飛んだ。
それを横目で見つつ、次の用意をしていたAが口を開く。









『……次は…』



目線の先には薬湯。
めちゃくちゃ苦い、あのアレだ。
あからさまに顔を顰めたAをみてしのぶはニヤリと不敵に笑った。



「……閼伽さん、アレ、苦手ですもんね」

『ここぞとばかりに恨み晴らそうとしてるの見え見えやからなしーちゃん』

「誰もそんなこと言ってませんよ」

『嘘や。なんや知らんけど恨みやら悪巧みの色がしーちゃん取り巻いてるもん。俺分かるねんでそーゆーの』

「じゃあ、始めましょうか」

『聞く気ないやろ！！』



若干善逸とのキャラ被りが心配だが、元々Aはこういう立ち位置だ。



「では、始め！」

『……ｸｯ』



びしゃあん、と頭に薬湯を被るA。
しのぶはそれに対してニッコリ笑顔である。



『……しーちゃん、嫌い』

「どんどん嫌ってください」

『やっぱ好き』

「あら。嫌っていただいていいんですよ？嬉しいので」



こめかみをピクピクさせるA。
今はどれだけAが口を開こうとしのぶには勝てる見込みがない。



「あの、しのぶ様、A様…続けてもよろしいですか？」

「すみません、お願いします」

『し、しーちゃん……』

「始め！」

『ちょっと？！』



ものの数分でAはびしょ濡れになった。
明らかに静かに落ち込んだ様子のAは、あれほど絡んできたしのぶに話しかけるのも疲れてしまったのか、トボトボと部屋へと戻っていくのだった。

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