バナナウユみたいに甘い

mashiho × 手料理 ページ15

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「できた！」
「おおー」







軽く拍手してみると、
にこにこと嬉しそうに食器を抱えて振り向いたA。

「召し上がれ〜」とテーブルに置かれたそれは、
日本でよく食べていた料理。







「めっちゃ美味そう」
「でしょ！シホのために練習したんだからね」







いただきます、とその肉じゃがを口に運ぶと
まるで日本で親の手料理を食べているような感覚になった。

あまりの美味しさと懐かしさにゆっくりと咀嚼していると、
心配そうな顔をしたAが顔を覗き込んできた。







「えっ、どうかな…」
「めちゃくちゃ美味しい」
「ほんとに！やったね！」







エプロンとポニーテールという、
普段と違って見慣れない姿のAに心臓が跳ねる。

韓国人マネージャーの彼女が、
俺のために練習して作ってくれた肉じゃが。

食べたことがないから完成形も分からないだろうに、
想像以上の出来だった。








「シホが喜んでくれたならそれが一番だよ」
「最高」
「わー…本当によかった」







少し照れたように笑う彼女は、
俺の頭をふわふわと撫でた。

その手を引っ張り、
自分の膝に座らせる。





「っ、ど、したの」





戸惑った表情のA。

視線を落とすと、
彼女の左手の人さし指に絆創膏が巻かれていた。
すこし血が滲んで赤くなっている。






「もー…A」
「…っ、」






頑張ってくれたAに気持ちが抑えられなくなって、
その小さな唇に自分のを合わせた。

離れると、顔を真っ赤にして俯くA。

ここで伝えてしまうか、いや、どうしよう。




どうすればいいのか分からなくなって、
「ごちそうさま」と笑ってみた。






「っ、ど、どういたしまして！！」



















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