能力 208 ページ10
.
洞窟はかなり大きくそして奥深くまである。白布は段々と暗くなる道を足元に気をつけながら歩き進める。
そして、歩みを進めるにつめて、奥の方からザワザワとヒソヒソと誰か人が話すような声が聞こえるのがわかった。
「……………誰かいるのか！」
白布がそう叫ぶ。すると、奥の声は一変、驚き慌てたような男の叫び声が帰ってきた。
「そこから動かないで！！！」
「！？」
あまりにも突然で踏み出そうとしていた左足を思わず引っ込める。すると先程より少し落ち着いた声で理由が教えられた。
「その先、大きな穴があるのです！深さは5、6メートルほどあります！我々はその穴の中に落ちて身動きが取れません。」
「！！…怪我はありませんか！？」
「大丈夫です！数名が足を捻ったり軽い打ち身ですが、大したことありません！」
白布はその話を聞いて安心すると共に、人数が何人かいるのだと気づく。そして、ひとつ僅かな可能性を考えた。
「……何名いらっしゃるんですか！」
「えっ、あぁ、僕含め7人です！」
その答えに可能性が現実味を帯びてくる。
もしかして、まだ、生きて………
「何か！引っ張りあげるものを！」
白布が何かロープを探そうとした時、奥の方から強く大きな声で反対された。
「ぼ、僕達は大丈夫です！！なので、先にそこから右の方に進んだ所を調べて欲しいんです！」
「………え？」
「すみません！でも、いつもそっちの方から音がして、誰かいるのかもしれないので！」
「…………分かりました」
この先は人が捕まっている。だが、右の方から音がする。となると、そこにいるのは十中八九この人たちを捕まえた犯人だろう。
白布は手に汗を握りながら右を向き、小さい歩幅で歩き出す。薄暗く1メートル先もろくに見えないが、腕を前に突き出し歩く。
そして、右手が冷たい岩に当たる。
その後両手で何か取ってみたいなものがないか探ると、ボコリと内に小さくえぐれた、スライド式ドアの取っ手のようなものを見つけた。
「！」
白布はそれを握り、意を決して横に引いた。
＿＿＿ガラリ
そう音がする。
少し目が慣れて暗闇でも何があるか位は見えるようになった。そこには岩底に数枚畳が敷いてあり、その上には机と座布団が置いてある。
そして、その机の上に、一冊の本が置いてあった。
白布は震える手でその本を手に取った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1177人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サヤカ(プロフ) - いちばん、大好きです。こんなにも読み返した作品今までにないです。心無い言葉ではなく我々の感謝に目を向けてください。応援しています。 (2022年10月19日 16時) (
レス) @page50 id: 61500f37b5 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊蒼 - すっごく面白いです！友達にもおすすめしちゃった！！ (2022年9月22日 17時) (レス) @page50 id: 9b1ede6104 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - ずっと応援しています！最高に面白くて、毎回更新されてないかなぁと見に来ていました！次回作、本当におめでとうございます！！とても読みやすくて、本当にHQ作品の中で一番好きな作品です。何回も読み直させてもらっています。次回作も楽しみにしています！ (2022年6月15日 16時) (レス) @page50 id: 68bcf78704 (このIDを非表示/違反報告)
甘納豆(プロフ) - 油揚げさん» いつもコメントありがとうございます。新作のコメントも読ませて頂きました。しかし、悲しいことに無意味な低評価が多くメンタルにも影響がありそうなので作り直させて頂きました。いつも本当にありがとうございます🙇♂️ (2022年5月18日 8時) (レス) id: f85dcebcdc (このIDを非表示/違反報告)
油揚げ(プロフ) - 更新ありがとうございます！！！めちゃくちゃ嬉しいです！！！ (2022年4月19日 9時) (レス) @page48 id: b66c454432 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
