能力 205 ページ7
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刹那、その場に似つかない怒声がひびく
「待てコラァ!!」
「なっ!!」
「っ!」
Aが大将の右腕を力いっぱい掴み、光が消えると同時に、響く声、そしてその声のする方から飛んできた30センチ程の
潜に向かって
どさり、と倒れ込む彼。
しかし皆の視線は怒声が聞こえた方向に釘付けだった
月島が小さく呟く
「…………し、らぶ………さん?」
そこには、汗を滲ませ、大きく肩を揺らして息をして立つ白布の姿があった。
何故攫われたはずの彼がここに居るの?とか、どうして30センチ位の人形が人飛ばしたの?とか、色々な疑問があるが、一番は、
「ふざけんなよ、この野郎」
彼が、明らかな怒りを滲ませている事だ。
A含め、みんな意味がわからず黙り込む。
しかし白布はそんなこと気にせず、怒りのままズンズンと大股で歩き、やがて潜の側まで行くと倒れ込んだ彼の胸ぐらを掴んだ。
潜の上半身が自然と持ち上がる。
「ッ!?」
「お前に言ってんだよ、あほんダラ!」
みな唖然である。
「え、あ………白布?」
思わず岩泉が声をかける。
だが白布はそれさえも無視して、大声で叫んだ。
「お前は本当にそれでいいのかよ!!!」
「………ッ!」
「お前は!このままアイツに殺されていいのかって聞いてんだよッ!!」
「……な、んで………いまさら、」
白布の力強い声と、潜の弱々しい声
「お前はこの結末で満足してんのかよ!不満ないのかよ!!」
彼の言葉は、
「尊敬してる人の役に立ちたいと思って何が悪いんだよ!!当たり前だろ!普通だろ!!なのに、殺されるなんて、一生懸命にやったお前はどうなんだよ!」
まるで、
「諦めんなよ!抗えよ!!気づいたんだろ!悪いことだって、いけないことだって!だからあんなに反省してたのに、自分からは何も言わず逃げるのかよッ、ふざけんなッ!!!」
彼自身の、叫びの様で。
「選択を間違えるなんて、子供なんだから当たり前だろッ!その結果が『死』なんてあんまりだ!!!悪いと思うなら、生きて罪を償え!!死んだら……ッ、死んだら!もう、それこそ、お前は弱虫クソ野郎だからな!!!!!」
同時に、潜の頬に水滴が落ちた。
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サヤカ(プロフ) - いちばん、大好きです。こんなにも読み返した作品今までにないです。心無い言葉ではなく我々の感謝に目を向けてください。応援しています。 (2022年10月19日 16時) (レス) @page50 id: 61500f37b5 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊蒼 - すっごく面白いです!友達にもおすすめしちゃった!! (2022年9月22日 17時) (レス) @page50 id: 9b1ede6104 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - ずっと応援しています!最高に面白くて、毎回更新されてないかなぁと見に来ていました!次回作、本当におめでとうございます!!とても読みやすくて、本当にHQ作品の中で一番好きな作品です。何回も読み直させてもらっています。次回作も楽しみにしています! (2022年6月15日 16時) (レス) @page50 id: 68bcf78704 (このIDを非表示/違反報告)
甘納豆(プロフ) - 油揚げさん» いつもコメントありがとうございます。新作のコメントも読ませて頂きました。しかし、悲しいことに無意味な低評価が多くメンタルにも影響がありそうなので作り直させて頂きました。いつも本当にありがとうございます🙇♂️ (2022年5月18日 8時) (レス) id: f85dcebcdc (このIDを非表示/違反報告)
油揚げ(プロフ) - 更新ありがとうございます!!!めちゃくちゃ嬉しいです!!! (2022年4月19日 9時) (レス) @page48 id: b66c454432 (このIDを非表示/違反報告)
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