能力 221 ページ23
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「実際に現地へ向かい、現場を見てきた我々が必要と言っている。それを無視するということは、この任務自体を放棄し村人たちを見殺しにする事と同じだ。この依頼を承諾した時点で、君には村人を助けるという責任が発生する。」
「……っ」
彼女の顔が僅かに歪む
「君は私を嵌める事しか考えていなかったのかもしれないが、なぜ任務にランクが定められているのか、その理由や意味を考えなかった君の落ち度だ」
「…………さい」
「もし、龍堂の生徒会長たる君がこれを許可しなかったら、龍堂の株はだだ下がりだろうね。君もお兄さんの顔に泥を塗りたくはないだろう?」
彼女にとって、兄の話が地雷なのは分かっていた。だからあえてそこを突く。すると白裏はキッとAを睨むとぶわりと威圧的な雰囲気を出す。
「煩いっ!!」
彼女の能力だ。
「う"っ………」
岩泉が辛そうに唸る。Aはそれを見ながら矢張りかと思いつつ、白裏の目をジッと見つめた。
「能力を解け」
「嫌よ、あなたが悪いの。解いて欲しければ今すぐ発言を撤回してここから消えなさい」
まさに、前回と同じ状況だ。
だが、今は前回とは違う。
「君は全く成長してないな」
「なっ」
「言っただろう、私は負けず嫌いなんだ」
Aはそう言うと同時に、無効化の能力を辺りに放出した。岩泉は崖の時と同様、ふわりと優しい風が通り過ぎると身体にまとわりついた気持ち悪さが消えるのを感じた。
その様子を見て白裏はやっと焦りの表情を見せる。
「何をっ!」
「私の能力を忘れたか?」
「まさか、」
「私は注意したはずだ。能力にばかり頼っていれば、いずれ痛い目を見ると」
「………………貴様ッ」
Aは会長の机の前まで歩くと、手に持った資料と依頼書をドン!と叩き置く。白裏の体が小さく跳ねた。
「さぁ、今、その責任を全うしてもらおうか」
逃がしはしない。
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「………っ、分かった。許可しよう」
弱々しい声だった。
それでも確かに、彼女は頷いた。
「ありがとう。本当に」
Aはそうお礼を言うと、人懐こく笑った。
例え敵対する奴であろうとお礼は大切だ。
「でも、」
しかし、白裏は低い声で続ける。
「?」
「龍堂生として、失敗は許さないわ。」
その言葉にAは軽く目を見開いた
「責任は、全て発案者のあなたにあるのよ、それを忘れないで」
「あぁ、勿論さ!任せてくれ!」
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サヤカ(プロフ) - いちばん、大好きです。こんなにも読み返した作品今までにないです。心無い言葉ではなく我々の感謝に目を向けてください。応援しています。 (2022年10月19日 16時) (レス) @page50 id: 61500f37b5 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊蒼 - すっごく面白いです!友達にもおすすめしちゃった!! (2022年9月22日 17時) (レス) @page50 id: 9b1ede6104 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - ずっと応援しています!最高に面白くて、毎回更新されてないかなぁと見に来ていました!次回作、本当におめでとうございます!!とても読みやすくて、本当にHQ作品の中で一番好きな作品です。何回も読み直させてもらっています。次回作も楽しみにしています! (2022年6月15日 16時) (レス) @page50 id: 68bcf78704 (このIDを非表示/違反報告)
甘納豆(プロフ) - 油揚げさん» いつもコメントありがとうございます。新作のコメントも読ませて頂きました。しかし、悲しいことに無意味な低評価が多くメンタルにも影響がありそうなので作り直させて頂きました。いつも本当にありがとうございます🙇♂️ (2022年5月18日 8時) (レス) id: f85dcebcdc (このIDを非表示/違反報告)
油揚げ(プロフ) - 更新ありがとうございます!!!めちゃくちゃ嬉しいです!!! (2022年4月19日 9時) (レス) @page48 id: b66c454432 (このIDを非表示/違反報告)
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