能力 217 ページ19
(岩泉・Aチーム)
この二人の仕事は、説得であった。
まず、大将と北と打合せをしたあと、二人で依頼主である村長の居る役場へ討伐報告に向かう。
「失礼します。龍堂学園の岩泉一です。依頼の結果報告と報告書をお持ちしました」
「おお、よく来てくれたね。君たち。」
村長と思われる人は、少し小太りした60歳程の男性だった。頭に乗っている艶やかな黒いフサフサに関しては触れない方がいいのだろう。
「今回の依頼ですが、行方不明だった七名は無事保護しました。大きな外傷もなくみな無事です。そして、本題の原因ですが………結果から申し上げますと " 魔物 " による被害ではありませんでした。」
「魔物じゃない?ならなんだって言うんだね。」
報告書を手渡しながら岩泉が説明する。村長さんは眉をひそめながらそう聞き返した。
すると、待ってましたと言わんばかりにAが口を開く
「……………村長様、その説明の前に、ひとつ、お聞きしたいことがあるのですがよろしいですか?」
「君は………龍堂の生徒かね。なんだい、突然。急いでるんだから早くしてくれないかね」
「すぐ終わりますよ……村長様は神様を信じますか?」
「……は?」
村長の気の抜けた声。岩泉はその様子を眺めながら、頼む予定通りいってくれ……と心の中で祈った。
「神様を信じますか?」
「………何を、言っているのかね。ふざけないでくれ」
「ふざけてなどいませんよ。」
そこまで言うとAはニコリと笑う
「神様を信じるかどうか、それは人それぞれです。でも、神様は居ます。それはきっと元からじゃなくて、私たちの強い思いや願いが彼らを作ったのだと思います。」
「……なっ」
「彼らは見ています。平等に、そして公平に。今この時も私たちのことを見ている。ずっとね」
その口ぶりは傍から聞いたら、まるで、神の存在を知っていて、まるで神に会ったことがあるみたいな言い方だった。
それに、気づいた村長は焦りの表情を見せる
「今回の事件、能力の痕跡もなければ、攫われた人々はみんな口を揃えて蛇に襲われたと言っています。考えられるのは、山奥の蛇を祀る戸美神社しかありません」
「っ、でも、神なんてっ!」
「この世には魔物も能力なんてものもある。そんな摩訶不思議が混在する世界で、神を否定することなんて、誰も出来ませんよ。」
真っ直ぐな瞳が村長の目を捉える。
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サヤカ(プロフ) - いちばん、大好きです。こんなにも読み返した作品今までにないです。心無い言葉ではなく我々の感謝に目を向けてください。応援しています。 (2022年10月19日 16時) (レス) @page50 id: 61500f37b5 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊蒼 - すっごく面白いです!友達にもおすすめしちゃった!! (2022年9月22日 17時) (レス) @page50 id: 9b1ede6104 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - ずっと応援しています!最高に面白くて、毎回更新されてないかなぁと見に来ていました!次回作、本当におめでとうございます!!とても読みやすくて、本当にHQ作品の中で一番好きな作品です。何回も読み直させてもらっています。次回作も楽しみにしています! (2022年6月15日 16時) (レス) @page50 id: 68bcf78704 (このIDを非表示/違反報告)
甘納豆(プロフ) - 油揚げさん» いつもコメントありがとうございます。新作のコメントも読ませて頂きました。しかし、悲しいことに無意味な低評価が多くメンタルにも影響がありそうなので作り直させて頂きました。いつも本当にありがとうございます🙇♂️ (2022年5月18日 8時) (レス) id: f85dcebcdc (このIDを非表示/違反報告)
油揚げ(プロフ) - 更新ありがとうございます!!!めちゃくちゃ嬉しいです!!! (2022年4月19日 9時) (レス) @page48 id: b66c454432 (このIDを非表示/違反報告)
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