Episode,22 君と桜を見たかった ページ18
◯
「おし、と。これで良いか……」
『うん、上手だね。流石は派手柱、絵を描くのは好きなのかい？』
「滅多に描かねぇよ」
宇髄さんにお願いしたのは、
私の血鬼術で桜を描くことだ。
こんなに上手なら機会さえあれば
一緒に絵を描いたり、教えてもらったりしたかった。
後からドタバタと慌ただしい足音が聞こえてきて
私の頭が持ち上げられた。
『………』
「…………しんでしまえ」
『もう、死んでしまうよ』
持ち上げたのは無惨で、
後に目をやれば刀を持って睨んでいる柱がいる。
連れてきた土柱は
シュミじゃない、と顔をしかめていた。
「あほ」
『………』
「姉さまのバカ」
『はいはい』
「なにも分かってない」
『ごめんね』
「せえいが感じられない」
『誠意、ね。
………本当に、ゴメン。
御免なさい』
「あやまらないで」
『………』
無残は真顔だった。
赤い瞳からすぅっ……と涙が一筋流れている。
双眸には私の顔が写っている。
歪な笑顔だ。
「この桜…」
無残は私に少しだけ文句を言うと、
空中に描かれている桜を見た。
『藤、嫌いでしょ？
私が約束を破ったから』
「うん」
『だから桜。
紅葉狩りは一緒にしたけど、
桜狩りは出来なかったから』
「そ」
無残はそっけなく返事をすると、
桜を魅入った。
私はその横顔をこっそりと盗み見る。
いつもと変わらない冷酷な表情。
でも私は知ってる。
本当は泣きたくてしょうがないんだろうけど、
今は敵がいるから泣けないんだよね。
泣かせてあげられなくてゴメンなさい。
勝たせてあげられなくてごめんなさい。
でも……貴方の株を上げられた気がするから
チョットだけ満足してます。
嘘だけど。
「姉さま、言うことがありませんか」
『……っん？』
全然聞いてなかった。
私が聞き返すと、もう消えかかっている私の顔を持ち上げた。
「姉さまは、さっき”いってきます”って言いましたよね」
『ああ……えっと、ごめんね』
「あやまらないで」
『でも……』
私はもう声も出ないことを認識した。
しっかりと口を動かして、
最後に言いたいことを伝えなくちゃ。
おかえりなさい
言えなくてごめんなさい
先に
行ってきます
◯
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三千幸 - 雨雲さん» うへぇ、そんなに言ってもらえるとは光栄です……( 三甘*´艸｀) (2019年12月9日 19時) (
レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
雨雲(プロフ) - マジで最高なんですけど、、え、マジで(語彙力) (2019年12月8日 22時) (レス) id: 75cba6923f (このIDを非表示/違反報告)
三千幸 - 蓮さん» アリガトウゴザイマス―――! (2019年12月3日 19時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - 面白いいいいいいいいいいいいいいい！ (2019年12月3日 19時) (レス) id: 947501fbf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三千幸 | 作成日時：2019年12月2日 21時
