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「信じられない!」


 そう言って私を睨んでくる彼。
 確かに、そう言われればそうだ。彼らにとって鬼は「滅すべき対象」だ。その鬼に人助けを手伝って、と言われて手伝ってくれそうなのは蜜離ちゃんくらいか。

『そう、ですよね……。どうしたら信じてくれるかなー』
「何を言われても、俺は信じないっ。俺は俺のやり方でここの人々の謎を突き止めて、これ以上、悲しむ人がいないようにするっ!」

 さすが、ジャンプ主人公。
 言うが否や、わたしから離れて一人で歩いていった。嗅覚が優れているから、私の居場所などすぐに突き止められるということだろう。
 そう云うことなら、私も一人で探索することにしよう。幸い、鬼だから夜目はきく。

『悲しいな……無惨もいい子なのに……』

 そう言いながら歩いていると、声が聞こえた。

『炭治郎ーっ?』
「……だ、だれですか?そ、そこに人がいるんですか?」

 声のほうへ歩いていくと、小さな檻があった。明らかに子供一人が入れるか入れないかの大きさだ。ところどころに血でできた錆のようなものが見える。

「ひゅっ……っ!お、大人……」

 どうやら大人が怖いらしい。
 私が近づいただけで、私の靴を見て大人と判断して酷く怖がっているのが伝わってくる。私はしゃがんで、檻の格子越しに子供を見た。

「…やめ、な……なぐらっあ…」
『大丈夫だよ。大丈夫。私はAだよ。君は?』

 出来るだけ優しく話しかけるように心掛けた。姉とは言うが、弟が出来過ぎていたために、どうしたらいいのか正直解っていない。

「お、ねえさん…僕は、巳一郎って、云います……おっ願い、します。ここから、出して」

 巳一郎君といった彼はおどおどしながらも、私に助けを求めてきた。
 私は少し考えてから、巳一郎君にできるだけはしに寄ってもらうように言う。

「は……はい」
『血鬼術……鬼灯の想い出っ』

 筆を振るい、格子を切り咲くように横一文字で描いた。
 と、同時に走る靴音が聞こえてくる。

『横壱字っ!』
「やめろぉぉぉぉぉぉぉっっ!」


『え』


 

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ソフィア(プロフ) - 三千幸さん» 見てきます!陰キャ組とか無常とかいいですよね… (2019年11月21日 19時) (レス) id: 94aa0ed7fc (このIDを非表示/違反報告)
三千幸 - ソフィアさん» はい!今、同名で2作品 書いて投稿しています。リッパー落ちとヤンデレ短編集ですが宜しければ読んでください!陰キャ組、白黒無常、写真家が好きなんです!……端末を持っていないのでゲームはやったことないんですが。 (2019年11月20日 19時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - 第五人格知ってるんですか?! (2019年11月19日 22時) (レス) id: 94aa0ed7fc (このIDを非表示/違反報告)
三千幸 - ミサモさん» そうですよねぇ。(*´▽`*) (2019年11月18日 19時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
ミサモ - 無惨可愛いなぁ(*⌒▽⌒*) (2019年11月18日 7時) (レス) id: 592a6abe49 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三千幸 | 作成日時:2019年11月5日 20時

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