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☆今世の恋人【冨岡義勇】※前世の恋人の後日談 ページ25

いつもと、変わらない夜のはずだった。
自分の恋人が、異形と戦っている以外は。


「ジュースでも買いに行くか。」

ふと、頭の中に蘇るのは可愛くて仕方が無い恋人の声だった。

『いい?夜は絶対出歩いちゃダメだからね!』

男の自分が彼女に心配するのなら分かるが、何故彼女が自分の心配をしたのだろうか。
それに、あの顔はとても冗談で言っているような顔ではなかった。

「なんで、今思い出すんだろうな。」

扉の鍵を閉める。
いつも以上に音が響き、今日は何か悪いことがあるのではないかと予感させる。

ああ、今Aは何をしているのだろうか。
早く明日になってくれれば、会えるのに。

「義勇っ!!!!?」

愛しき彼女に会えても、こんな未来。
誰が予想出来た?



「A……?その刀はなんだ…?銃刀法違反…。」

「今はそんな事いいから!!早く逃げて!!鬼が来ちゃう!!」

「鬼?そんなもの嘘じゃないのか…?」

「いいから!!!早く逃げて!!!!」

肩を掴み、それこそ鬼の形相で俺に話しかける。
焦り方が尋常じゃないと思い、話しかけようとした瞬間だった。

「ああ、来てしまった……!」

苦虫を噛み潰したような顔をしたAは、即座に俺を背中に庇い刀を構えた。
その先にいるのは、異形。

まさに、鬼。

あまりの事についていけず、腰が抜ける。
なんて情けない。

昔なら俺は………。昔……?
一体、いつの話だ。
いつ、俺がこんなのと戦って勝っていたんだ?

「義勇、大丈夫。私が貴方を守ってみせるから!」

1歩を踏み出す彼女を、とめたくて仕方ない。
帰ろう、A。そんなものからは、一緒に逃げよう。


"逃げるな、刀を持て。冨岡義勇。"


俺の中で、俺じゃない俺が話しかける。
一体、誰なんだ?

お前は、俺なのか…?

"最終選別のあの日を思い出せ。"

最終選別ってなんだ!?
仕事とかでもないはずだろ!

ああ、何故だろう。
やけに、胸が苦しい。

「A……。」

上手く息が吸えず、倒れた俺が最後に見たのは、大正時代のあの頃と変わらぬAの真っ直ぐで美しい呼吸だった。

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青魔導師(スマホ) - 最&高だった。それで、前に調べ物してる時に知ったんだけど、母乳や◯液って血から作られるらしい。という事はつまり……しばらくは困らないね? (2019年12月17日 0時) (レス) id: ac185f7a00 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - またリクエストいいですか?夢主柱で夢主は煉獄と協力して伊黒実弥にドッキリをする。煉獄が血鬼術で耳が遠くなったと伊黒実弥に話す。伊黒実弥信じて他の柱達に煉獄が血鬼術にかかった事を話してしまう。お願いします。 (2019年12月16日 10時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
らむん(プロフ) - 美桜さん» いえ!こちらこそ、ありがとうございました! (2019年12月16日 4時) (レス) id: ff4d4c9823 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - らむんさん» ありがとうございます。煉獄の話良かったです。 (2019年12月14日 10時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
らむん(プロフ) - プッツンさせたいなぁ…とか、色々考えているので楽しみにしててくださいね!! (2019年10月21日 8時) (レス) id: ff4d4c9823 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らむん | 作成日時:2019年8月1日 2時

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