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ソウル市にある芸能事務所、Big Hitエンターテインメント。
少し前まではビルの一角に構えていたこの会社も、あのグループのおかげで立派な社屋を持つことが出来た。
8階建ての最上階に位置する事務室には、今日もけたたましいタイピング音と、鳴り止まない電話。
どんどん積まれていくデスク上の紙切れにいい加減嫌気がさしてきた頃、室長がパク！と誰かを呼ぶ。
全く、我らが大韓民国は同じ苗字ばかりだというのに、一体いつになったらフルネームか名前で呼ぶことを覚えるのだろうか。
どのパクさんですか〜なんて誰にも聞こえないように小言を漏らしながらキーボードを打ち続ける。
｢パク！…パクA！聞こえないのか！｣
｢……私ですか｣
｢この会社にゃお前しかパクいないだろ！｣
大人しく室長に従い、小さな会議室に連れられる。
どうもこうも、室長が言った通りである。うちの事務室にはパクさんが私しかいない。どこのパクさんもいない、このパクしかいないのだ。
私の右隣も左隣も、正面も通路を挟んだ後ろの席も、全員キムさんである。キム大量発生なのだ、別に珍しいことでもないが。
連れてこられたとはいえ、一応失礼しますと挨拶をした後、室長が立派なテーブルの上にあったファイルを手渡してきた。資料が何枚か挟まれている。
嫌な予感がする。とりあえず受け取ったファイルには目もくれず、自分のデスクに山積みになっている仕事を思い出す。
今週までに仕上げるものがあんなにあるのに、また大きめの企画かなにかだろう。考えるだけで目眩がしてきた。
｢今日提出のものどうなってる？｣
｢キムユジンが提出済みです｣
｢昨日のVLIVEの件は？｣
｢それは昨日の内に私とカンさんで対処しました｣
じゃあお前今日暇だな、は？何言ってんすか
タチの悪い冗談を抜かす室長も室長で多忙である。
私達の空気が重たすぎるのを気にして言ってくれているのは分かっているが、優しい室長の性格に甘えて、つい棘のある言い方をしてしまう。
｢お、ネイルしてるのか、春らしくていいな｣
｢今秋ですけどね、これも一応コスモスですけどね｣
｢…冗談だよ｣
社員の些細なことにもすぐに気づいてくれる。このネイルをしたのはつい昨日である、こういうのはシンプルに嬉しい。
それにこの人の言い方にはいやらしさがない、根っからのいい人なのだ。
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名無し(プロフ) - アイアイさん» 嬉しいコメントありがとうございます！がんばります…！ (9月11日 10時) (
レス) id: 6f5415b4b3 (このIDを非表示/違反報告)
アイアイ(プロフ) - 2人のやりとり好きです❤️否定も肯定も出来ない関係がリアルですね！更新これからも楽しみにしてます！ (9月4日 19時) (レス) @page30 id: ef22ae402e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し | 作成日時：2022年10月4日 19時
