佰漆 ページ7
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卓上に置かれた写真を一緒に眺めながら、小芭内が口を開く。
小「…姉様は今夜は任務は無いのか」
『うん、今のところは無いよ。烏くんが呼びに来たら行くけどね。小芭内は?』
小「俺は休みだ」
『それは良かった。ゆっくり身体を休めるんだよ』
小「………あぁ……」
ひとつ返事をして、私の肩に頭を凭れる。
『……?どうしたんだい、小芭内。お眠かい?』
小「…………違う…」
なんだか口数が少ないな。珍しい。いつもはネチネチ喋り倒してるのに。
『そうかい?寝る時はきちんとお布団で寝ないといけないよ?』
小「……なぁ、姉様、俺、今何歳だと思う」
『ん?十八だろう?』
小「そうだ、もう十八だ。子供扱いされるような年齢じゃない」
『……あ、……すまない、そんなつもりはなかったんだ』
いつの間にか肩の重みがなくなっているのに気付き、写真から目を逸らして小芭内を見た。
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伊黒小芭内side
こちらを向いた姉様の狐面を、何も言わずに外す。
小「……相変わらず、姉様は美しいな」
『……ふふっ、どうしたんだい急に』
小「…別に、思ったから言っただけだ」
機嫌良く笑った彼女の頬を、指の背でなぞった。
行燈に淡く照らされた白い肌が、いつもより妖艶に見える。
美しいな、本当に。
小「………そうだ、姉様に渡したい物がある」
『……ん?
…おや、これは組紐かい?綺麗だね…』
懐から取り出したのは、紅い地に金糸で柄が描かれた長い組紐。
小「簪を渡すと言ったのを覚えているか」
『確か、昨日の晩だったかな?』
小「あぁ、だが簪だと常に身に付ける事が出来ないと思ってな。だから、組紐にした」
姉様の後ろに回り、光を受けて輝く黒髪を手に取る。
『そんなに素敵なものを頂いていいのかい?』
小「俺が勝手に用意しただけだ。気にすることはない。
……よし、できたぞ」
低めの位置で髪を結い、近くにあった手鏡を見せる。
『わぁ…!気に入ったよ、これから鬼狩りに行く時はこれで髪を結うことにする!』
小「そうしてくれると嬉しいな」
『ありがとうね、小芭内』
小「……あぁ…とても似合ってる」
褒めると、心底嬉しそうに姉様は笑う。
少女のような愛嬌がその綺麗な顔一面に溢れた。
小「………………」
あぁやはり、どこまでも愛い人だ、貴女は。
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MARE(プロフ) - 海の中で目開けでも染みませんよ。普通の水と同じです(体験談) (2021年6月26日 20時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
かん - お久しぶりでございます…!楽しみにしてました。これからも楽しみに待っております! (2020年6月7日 16時) (レス) id: b9832c7634 (このIDを非表示/違反報告)
翔(プロフ) - すごいハマってます。小芭内かわいいです/笋靴砲呂燭泙蠅泙擦鵝そしてむいくんの可愛さも尊い 小芭内が一時期愈史朗くんに近かったのが笑いました。これからも楽しみにしております。(^-^) (2020年6月3日 2時) (携帯から) (レス) id: b9fae3d1e9 (このIDを非表示/違反報告)
shion - 久しぶりの投稿嬉しいです!!続きも楽しみにしてますっ! (2020年6月2日 1時) (レス) id: bbadf961a9 (このIDを非表示/違反報告)
紅蓮(プロフ) - めっちゃハマりました!!続きが読みたいです!更新頑張ってくさい! (2020年5月26日 22時) (レス) id: d6f1919e89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M2 | 作成日時:2020年1月31日 20時