玖拾陸 ページ46
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『被り物から水が染み出てるじゃないか。拭いた方がいい』
伊「いやこのままでいい」
『大切に扱わないと、すぐに駄目になってしまうよ?』
伊「……………」
『ね、親分』
伊「………………仕方ねぇな」
渋々といった様子で自分の頭を差し出した伊之助。
…自分の頭を差し出した伊之助?
伊「……………ん」
『………………ん?』
伊「ん!拭け!!」
『アッハイ!!』
わしゃしゃしゃしゃと青みがかった髪を拭かせていただく。
『…………………ワシャシャシャシャシャ』
伊「…………ホワホワ」
拭いた方がいい、って、被り物のことだったんだけどな。棚から牡丹餅って感じやな。ありがとうございます。
た「……雨、止むまではここに居座ってけ」
『おや、いいのかい?ありがとう』
た「この天気の中、山を下れとは言えるわけねぇだろ。伊之助、お前もだ。今日は外出るな」
伊「………………ホワホワ」
た「聞いてねぇなこれ…」
『ふふっ。
そうだ、親分。君、百人一首を知ってるのかい?』
伊「…んあ?知ってるぜ!山の王に知らないモンはねぇ!!」
『へぇ、凄いね、さすが親分』
伊「ふんっ!」
『ちなみに、意味とかも?』
伊「それは知らん!!」
『あらあら……』
最速で矛盾が生じた……しかしそれもまた可愛……
爺「…今来むと 言ひしばかりに ながつきの
有明の月を 待ち出でつるかな………」
『あ、じゃあこれの意味を教えてあげよう』
伊「興味ねぇ」
『そんなこと言わずに…
これは確か…"貴方がすぐに来ると言ったから、九月の長い夜に貴方を待ち続けたら、とうとう有明の月が出るまでになってしまった"って意味だったかな』
伊「…よくわかんねぇ」
『ふふっ、親分もいつかわかる時がくるよ。
…よしっ、髪、だいぶ乾いただろう?次は被り物を乾かそうか』
伊「…まだ乾いてねぇ」
『えっ?でも、ほら、触ってごらん?』
伊「乾いてねぇ!!」
『……?わかった、もう少し拭こうか…』
うーん、乾いてるんだけどなぁ……
山の王はお気に召さなかったか……
伊「………………ホワホワ」
た「(コイツ…気に入りやがったな……)」
___
最近、毎日更新記録が危うい……
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うさぎもち - 無一郎かわええ・・・ (8月5日 16時) (レス) @page47 id: 6ed501a3ba (このIDを非表示/違反報告)
冰輪(プロフ) - 無惨のママみがつおい……w (8月1日 0時) (レス) @page27 id: 3dfd0d46a5 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - いつも楽しみにしてます最新頑張ってください応援しています (2021年5月21日 22時) (レス) id: 15c1247fea (このIDを非表示/違反報告)
りぽE - 錆兔好き…。 なんでこんなイケメンなん??錆兔と義勇さんに攻められたらやべぇな (2020年6月10日 16時) (レス) id: 15686f771a (このIDを非表示/違反報告)
桃綺薇(プロフ) - 鯖兎に惚れた…… (2020年4月20日 18時) (レス) id: 3e7a0f8c20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M2 | 作成日時:2020年1月18日 22時