子供の葛藤は成長の証よな ページ12
日が暮れる時間になって、道で会った京子とハルにチビたちと逸れたことを聞いたオレは、二人と別れてから携帯電話を取り出した。
「…もしもし？フゥ太、今どこ？」
『鈴ちゃん！』
相手はもちろん、件のチビたち代表・フゥ太だ。結構前に持たせたキッズケータイで緊急の連絡はとれるようにしていたのだが、フゥ太的に、今回逸れたことは緊急事態にはカウントされなかったらしい。暗くなる時間に慣れない場所歩かないの！後で言い聞かせておかないとな。
『えっと、商店街を抜けて住宅街に入ったところ』
「まだゲート見えるか？人歩いてる？」
『うん』
「じゃあ悪いけど、ゲートまで戻ってそこで待ってて。オレ迎えに行くから」
『えっ！僕、帰り道わかるよ！』
「いーから、人のいるところにいて。電話切るなよ？」
『…わかった…』
また何か言いたいことを飲み込んだふうに、フゥ太は押し黙った。
向かう道中、今日あったことをチビたちに喋らせている間もフゥ太は元気がなかった。ゲートと三人が見えて手を振っても、フゥ太は振り返さない。
「星みーっけ！」
「冷えてくる前に家に帰ろーな」
歩き疲れたと言うランボをおんぶして、沈んだフゥ太とそれを心配するイーピンを連れて帰路につく。相変わらず、滅多なことがなければ手は繋ぎたがらないようだ。少し後ろを歩いて、イーピンはそれをチラチラ振り返ってはオレを不安そうに見上げた。
本当は、ここで話を聞くのが正しい判断なんだろうし、ツナや京子やハルならそうするんだろう。でもオレは違う。なんとなく予想がついてしまったのもあるけど、きっとオレ限定で、自分から言い出さないうちは尋ねても話さないんだろうなと思ったから、聞かない。悩んでいること自体を隠すようになったら大変だし。
そこまで考えたとき、ふっと視線を感じた。
「フゥ太、いいかいやかで聞くんだけど、チビたち連れて走れる？」
「え？…い、いやだ」
「いやなのね」
危険な空気を感じ取ったのか、フゥ太は顔色が悪い。それでもオレを置いて逃げるのは嫌、と。うーん、じゃあ背を向けることにはなるけど、担いで逃げるか。何事もなさそうに歩く。
小さくサーベルを構える音がして、イーピンが敵に気づいた。この子は抱えなくても逃げてくれる。背中のランボを抱え直し、片腕でフゥ太を脇に抱え、地面を蹴った。
「わぁ！？」
「走るぞ！！口閉じてろよ！！」
敵が追って来る。目指すは、原作の対峙場所であるY字路。
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卯月伍(プロフ) - 暁月臨さん» ありがとうございます！下手すると数ヶ月とか挟んで急に投下するスタイルですが、続きを待っていてくださる方がいると思うとモチベが上がります！ (12月21日 20時) (
レス) id: cac572832d (このIDを非表示/違反報告)
暁月臨(プロフ) - めっちゃ好きです…！続き待ってます！！ (12月12日 14時) (レス) @page30 id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：卯月伍 | 作成日時：2020年11月14日 12時
