【アーレス】Don't look back!【小説版】 (ページ10)

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10話【九石咲季】ページ10

あぁ、今日も隣が空白だ。

私の一日は、この空白を覗き見て始まる。

「やっぱり、白いですね。雪季。」

亡き妹の名前を呼ぶのも、これで何度目かは自分自身でも分からない。

あの日、あの教室で見た光景は、何回瞼を閉じても、何回忘れようとしても、決して忘れる事は無い。

血の海。私の発した小さな囁きは、多くの人を奪った。
バラバラに散らばる女達、その中に1人だけ、穢れを知らない少女もいた。

雪季。私のたった一人の愛しい妹であった人物だ。

あの時、正気に戻った私の手の中にいた...いや、あったのは、人間なんかでは無い。ぐちゃぐちゃとした魔物。頭に刺さったカッターナイフを中心として、割れていた。私の手に触れたから。

私は、良く狂わなかったなと、自分でも思う。

否。

もう狂っていたのかもしれない。

それ以来、私は触れるのが怖くなった。
触れられるのが怖くなった。

私に触れたら壊れてしまう。

あの魔物の様に。

「あーあ、嫌です、分かっているつもりなの、分かっているつもり。けども、毎日毎日、誰もいないこの部屋で朝を見るのは、正直辛いです。」

「雪季が見えるの。咲季、咲季って言っているの。怖い。触れられるのが、怖い。触れるのが、怖い。
けども、1人は、怖いの...」

少女の声は虚しくも空白に消えていったが、重たい空間がそこに残る。

「ぁ...ごめんなさい...ごめんなさい」

そのあとは、ごめんなさいが何回もこだました。

少女の謝罪が、急に止んだ。

「でも、ね、少し、怖くなくなって、来てるの。
優しい、アーレス、の、人が沢山、いるから。だから、これが最後。最後だよ。」

震える声で少女は言った。

「これが最後。」

「……メリーバットエンド九石咲季は、九石雪季を✕✕✕✕✕」

崩れ落ちる家具。それは、目の前が黒に染まる前に見た最後の光景。

END.*･ﾟ────────────────
気絶end！
ども！みくろです。かなり遅くなってしまいました。この先、放ったらかしです。難しい...
これが私の限度です。