7話【灰ヶ峰零】 ページ7
近くにあったメモ帳に「大丈夫だよ」と書いてベットの隣に置いておく。
正直、街を歩いていた時にルルチアがしゃがみこんでいたのは驚いた。
そのあとアーレスまでルルチアを運んで、ここ、ルルチアの部屋にいる。
生憎ルルチアと同室の陽葵はいなかった。
ドアに向かって歩き出す。
ルルチアが目覚めるまではここにいたかったが、しょうがない。
______今、私には時間がない。
ここは、魔物が多くいる森の中だ。
さっき街を歩いていたら、誰かが「魔物が多い森でトラウマを具現化する魔物が現れたらしい」と言っていた。
そもそもメルクリアやアーレス以外はあの森に行く人は少ない。
ただの噂の可能性が高いが、今朝の悪夢でストレスが溜まっていたため、解消がてら見に行ってみよう、と思ったのである。
森につくと、相変わらず大量の魔物がいる。私が音を立てるとそれに気づいたのか、一斉に私のほうに向かって来る。
静かに息を吐く。ナイフを両手に持つ。
一斉に私も魔物へ向かった。
だいぶ魔物は減ったみたいだ。一人でどのくらい魔物を倒したかわからない。
そろそろ撤退したいところだ。そういえば、やっぱりトラウマを具現化した魔物は見当たらなかった。
「やっぱりただの噂だったか……」
そうぽつりと呟く。どこか安心している自分が嫌いだ。
さあ帰ろう、とナイフをしまおうとすると、どこからか声が聞こえる。
「近寄らないで……」
背後にぞく、と寒気がする。ナイフをもう一度持ちながら振り向くと、そこには人型をしたような魔物がどうやら私に話しかけていた。
「やめて……消えたくない……」
最初は声がかすれていたが、今でははっきり私に言ってくる。
その台詞はまるで、私のトラウマの時に、私や友達が言っていたような________
「やだ……なんで……こんな……」
魔物がそう言うと、その周りが消滅していった。
ひっ、と思わず声が漏れる。
きっと、これがトラウマを具現化する魔物だ。
私が動けないでいると、どんどん周りが消えていく。
あの時の様子が蘇る。他の幸せな記憶はそこまで覚えていないのに、この記憶だけはっきり覚えている。
恐怖で足が竦む。その間も魔物は周りを消滅させながら私に近寄ってくる。
咄嗟にナイフを投げようとしたが、震えて上手く狙いを定めることができない。
そして、私はあの時のように、目の前が暗転した。
___________
よもぎです。気絶end。このままじゃやられてしまうのであとはアーレスの誰かに任せます。
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緋雨(プロフ) - 更新しました (2019年1月27日 19時) (レス) id: a99e3f0dd3 (このIDを非表示/違反報告)
緋雨(プロフ) - 更新します。 (2019年1月27日 19時) (レス) id: a99e3f0dd3 (このIDを非表示/違反報告)
八彩(プロフ) - 終わりました。 (2019年1月12日 20時) (レス) id: 6f8b3d2233 (このIDを非表示/違反報告)
八彩(プロフ) - 更新します。 (2019年1月12日 19時) (レス) id: 6f8b3d2233 (このIDを非表示/違反報告)
花梨(プロフ) - 終わりました (2019年1月11日 22時) (レス) id: 0f72c4ac28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アーレス(八彩・ユリ夜桜) x他3人 | 作成日時:2018年9月15日 13時