検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:2,954 hit

5話【ルルチア=ロッキ】《恐怖×温》 ページ5

風が僕を包み込むようにまとわりついた。微かに笑っているように聞こえる。高い声、低い声、幼い声、馬鹿にしている声、罵倒する声、嘲笑う声、泣き叫ぶ声…

「…やめ、て」

耳鳴りがする。僕はその場でうずくまった。自分の中の鎖が静かに動いた。何がなんだが分からない感情が渦を巻くように頭に響いていく。辛い、やめて、辛い、やめて…

「うぅ…」

誰もいないから助けも呼べない。怖いから叫びもできない、泣くことも出来ない…いや、泣くことは出来ているのか?それすら分からない。分かるのは今、誰かが僕を罵倒している、それだけだ。風が強くなる度に聞こえてくる声。辛いくらいに聞きたくない言葉達がまとわりついてくる。いや、いやだ、怖い、消えて、お願いだから消えて、言わないで何も言わないで……

「……チア?ルルチア!」

「……?」

誰かに呼ばれて声のする方を見た。いたのは大好きなお姉ちゃん。

「零、さん…」

「…どうしたの?偶然通り過ぎたらルルチアがいたから………それより、その鎖は?」

手を見ると本当に鎖を握っていた。思わずひえっと声がもれた。なんで今?僕は何も能力を使っていない。そう、使ってない…最近、よくあるのだ。能力を使ってなくても鎖が出てきてしまうことが。でも、この鎖は能力の鎖ではない。自分の感情から生み出されている"何か"なのだ。それが分からない。分かれば克服することができる。それで万事解決だ。でも解決できない。その鎖から開放された時、これから先何に悩まさせるのか?それすら怖くなる。両親か?対人か?人生か?考えたくないのに考えてしまう…無限に広がる恐怖という言葉、誰かに助けて欲しいという願いはいずこへ…?

「ルルチア!」

「…?」

そっと零さんが僕のことを抱き寄せる。温かい、これが温もり…?

「大丈夫だから、一人で抱え込まないで。」

抱きしめる力が強くなる。それだけでもなんだかほっとする。

「…あり、が、と………」

そこからの意識はない。気づけばアーレスの家だった。

6話【桜庭琉叶】→←4話【降魔地操】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (6 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
5人がお気に入り
オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

緋雨(プロフ) - 更新しました (2019年1月27日 19時) (レス) id: a99e3f0dd3 (このIDを非表示/違反報告)
緋雨(プロフ) - 更新します。 (2019年1月27日 19時) (レス) id: a99e3f0dd3 (このIDを非表示/違反報告)
八彩(プロフ) - 終わりました。 (2019年1月12日 20時) (レス) id: 6f8b3d2233 (このIDを非表示/違反報告)
八彩(プロフ) - 更新します。 (2019年1月12日 19時) (レス) id: 6f8b3d2233 (このIDを非表示/違反報告)
花梨(プロフ) - 終わりました (2019年1月11日 22時) (レス) id: 0f72c4ac28 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:アーレス(八彩・ユリ夜桜) x他3人 | 作成日時:2018年9月15日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。