【アーレス】Don't look back!【小説版】 (ページ29)

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29話【ルルチア=ロッキ】《水×花》ページ29

「…っ……」

唐突な怒号、ゾワッとくるような寒気と焦り、そして震えだした体…。零さんとAliceさんが口論してる…、少しだけ話が聞こえた。僕の事だった。だから怖くなった。震えが止まらない、吐き気がする、抑制したいこの名前のない感情。

「生きてて……ごめん、なさい…」

気づいたらリビングでナイフを持っていた。自分に対して痛みつけていた。手首を何度も、何度も、辛くならないように。さっき誰かとすれ違った気がする、誰かリビングにいた気がする、誰かに肩を揺さぶらて止められてる気がする…全部気のせいだ。気がするだけであっているわけが無い。止められてる気がするだけで止められてるわけがない。

「…て……ごめんなさい………生き、てて…ごめん………な、さい…」

涙が滝のように流れてくる、でも痛みは感じない。無痛にほぼ等しい、ただ赤く染っていくだけの床を見ているだけ、赤く染っていくだけの手首を見ているだけ。

「ごめん、なさい…」

ナイフを手放した。と言うよりは誰かに持っていたかれた、取り上げられたに等しい。誰かが僕を怒鳴っている。でも誰なのか分からない。誰かが僕の真っ赤な手首を白い帯状の何かで巻こうとした。僕は嫌と抵抗した、怖かった、また「巻かれてしまう」のが、「飲み込まれてしまう」のが。

「……生きててごめんなさい…」

その言葉しか発することが出来ない。嗚咽をかきながらその涙で滲んだ視界で辺りを見渡し、もう一度真っ赤な手首に目をやった。真っ赤だ、綺麗だ、美しい…。こんなに綺麗で綺麗な赤色は見たことがない。薔薇の様に真っ赤な色。僕を染め上げた真っ赤な薔薇。誰も僕に近づかない、恐らく唖然としているのだろう。そんなにおかしいのかな？目の前に綺麗な薔薇が咲いているだけじゃないか。

「…僕に……近づかない…で……」

ふとその言葉だけを残して立ち上がり薔薇を落としながらお花畑のある庭へと出て行った。

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お久しぶりです。
少しだけ零ちゃんとAliceさん、名前だけですがお借りしました。
鬱要素多めで毎回ごめんなさい(笑)
誰か〜ルルを助けてあげて〜ください。