ヒャクロクジュウキュウ話 第三者視点 ページ24
背に迫る黄色い槍に、肉を切らせて骨を断つかと取捨選択を考えたその時である。
『────……』
アサシンを守るかのように結界魔術が展開された。
そのためディルムッドの黄色い槍はアサシンに届くことなく、結界の防御によって不発に終わる。
ガラスが割れるような音と共に結界が壊れたがアサシンは直ぐ様、士郎と凛を抱えて回避しようとした。
だが、どうやら二人にも同様の結界魔術が展開されているらしい。
セイバーの攻撃を防いだと同時にガラスが割れるような音が、何故か二重で聞こえた。
「!」
空から雨とは別に降り注ぐ多数の矢。
放たれた矢は四人を取り巻く竜牙兵を一時的に無力化した。
一拍遅れて上空より現れたのは凛のサーヴァントであるアーチャーだ。
「遅い!」
「これでも急いできた方だ」
第三者の割り込みに双方一時警戒のため様子を見ていたようだが、直ぐ様ディルムッドはアサシンへと攻撃を仕掛けてくる。
右の赤い槍、左の黄色い槍。
流れるような槍捌きにアサシンはただ避けるか受け流すかしか出来ないだろう。
令呪の効果も切れかかってきている。
「グッ!」
「消えろ。俺以外にあの方の騎士であることは断じて許さん」
アサシンの脇腹に左の黄色い槍が掠めた。
浅い傷だった。
追い討ちを掛けるように更に猛威を振るうディルムッドだったが、何かに気付いて身を引く。
「アサシン!」
向けば凛が何かを撃ったような構えでいた。
肩越しには結界の亀裂が出来ており、晴れた通常の道路と赤い橋が見える。
時間を稼ぐかのようにディルムッドへとガンドを放つ凛。
臆する様子もなく、冷静に右の赤い槍でいなしていくディルムッド。
アサシンはその隙に横たわって、目を閉じているAを抱え上げると凛の方へと走った。
目を鋭くし追撃するようディルムッドはアサシンの背を追うが、まるで隔てるように二人の間に結界魔術が展開された。
何故、と目を剥くディルムッドはアサシンに抱えられているAへと視線を向けるが、その目は固く閉じられていて。
程なくしてガラスが割れるような音と共に結界魔術は壊れた。
その時にはもう五人の姿は遠く離れている。
「……いつか足元を掬われると忠告してあげたのに、本当に馬鹿な子ね」
「……」
「……何故です、A様」
一人は思い出に浸るかのように、一人は寂しそうに悲しそうに、一人は恋焦がれるかのように。
それぞれの背中を見て心中を吐き、そしてその場から消え去った。
ラッキーアイテム
鳳凰の羽根
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
ラッキーサーヴァントクラス
シールダー
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翔べないペンギン(プロフ) - セツナさん» こちらでもコメントありがとうございます。その部分は私も個人的になかなかいい感じに書けたと思っており、そう言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます。 (9月6日 19時) (レス) id: 28f5cad4bb (このIDを非表示/違反報告)
セツナ(プロフ) - 微破廉恥注意の部分でのアサシンとアーチャーの会話が面白すぎますw (9月5日 22時) (レス) id: 2ea77c9340 (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - 爽@推しに貢ぎたい隊長さん» 二度目のコメントありがとうございます! 続編も公開に向けられるように頑張りますのでお待ちいただけると幸いです。 (2021年2月12日 21時) (レス) id: 5cd6e12329 (このIDを非表示/違反報告)
爽@推しに貢ぎたい隊長(プロフ) - あ、コメント失礼します。もう一度最初から読んできました!続編お待ちしております! (2021年2月11日 20時) (レス) id: f8f17f4c0f (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - ロゼファさん» コメントありがとうございます! お褒めに預かり光栄の極みです(照) 主人公かわいいと言っていただけて、もう嬉しくて小躍りしてしまいそうで……。続編公開までもう少々お時間を有しますのでお待ちいただけると幸いです。 (2021年1月9日 23時) (レス) id: 968bf19702 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翔べないペンギン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時:2020年8月8日 9時