arc_en_ciel Ⅲ【虹】 (ページ9)

今日:27 hit、昨日:12 hit、合計:61,951 hit

. ページ9

黄side～

最後にやっと繋がった、しげとの電話を終えて、ふぅ、と小さく息を吐いた。

のんちゃんが目を覚ました瞬間は本当に嬉しかったんやけど、その後直ぐに、のんちゃんが顔を顰めた。

“右手と右足が動かへん、”

のんちゃんが目を覚ますまで分からんかった、“後遺症”の問題。

のんちゃんが目を覚まして直ぐに精密な検査を受けて分かったのは、脳の損傷による、右半身の麻痺、やった。

もう、アイドルとして踊れない、と、取り乱してしまったのんちゃんは、薬で眠ってしまって。

俺は、その間に、他のメンバーへ連絡を取って。

俺やって全然冷静になれた訳やなくて。

むしろ、怖くて仕方ない。

他のメンバーは忙しくて、今日来れそうなのはしげだけやった。

俺は、ふぅ、ともう一度息をついて、のんちゃんの病室に向かった。

.

「…ちょ、……のんちゃん、！？」

ベッドに寝ていた筈ののんちゃんが床に座り込んでいて、慌ててかけよれば、その瞳からぽろぽろと涙を流した。

「……も、…いややっ、…なん、で、…動かへんの、！？」

「…っ、」

ドンドン、と悔しそうに自分の思い通りに動かない脚を叩く。

「…のんちゃん、痛いやろ？叩かへんよ、」

「…っう、…ぃやや、っ、なんで…っ、！」

力一杯に脚を叩く手を無理やり止めるしかなくて。

大した言葉も掛けられへんまま、慌ててやってきた看護師さんにのんちゃんはまた、眠らされてしまった。