arc_en_ciel Ⅲ【虹】 (ページ8)

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小瀧は二週間たった今も目を覚ましていない。

有難いことに主演ドラマが決まって、その撮影に加えて、ライブのリハーサル。

忙しいことを理由にして、俺は、小瀧のお見舞いに中々行けないでいた。

包帯だらけで真っ白いベッドに眠り続ける小瀧を見ると、あの、事故の瞬間を嫌でも思い出してしまって。

どうしても、小瀧のお見舞いに行く事を戸惑ってしまう。

他のメンバーは、ちょくちょく小瀧のお見舞いには行ってるみたいやけど、その事実すらも苦しくて、あまり小瀧の様子を聞かないことにしていた。

それでも、やっぱり小瀧が心配で。

ドラマの休憩中は、何度も小瀧の事を考えては、溜息をついていた。

そんな時。

俺の携帯に不在着信が入っていて、相手は淳太から。

掛け直せば、3コールで出た。

「…もしもし、どした？」

『今、大丈夫…？』

「ぉん、大丈夫やけど、」

“のんちゃんが、目を覚ました”

「ぇ、…ほんま、？！」

『…ぉん、…ほんまやで、』

そう言った淳太の声は、なんだかあまり嬉しくはなさそう。

『撮影って、午前で終わりやろ？…こっち来れる？』

分かった、とだけ伝えれば、撮影頑張ってな、と、淡白に切れた電話。

漠然とした不安は拭えないまま、撮影は再開した。