arc_en_ciel Ⅲ【虹】 (ページ26)

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赤 side～

「……っ、」

俺の言葉で傷ついたように悲しそうに眉を下げた神ちゃん。

その場に居づらくなった俺は、神ちゃんに背を向けて、ライブの準備をした。

頑張りたいココロに身体が追いついてきていない事なんて、自分が一番解ってる。

頭が痛い、身体が怠い、寒気がする。

ただ、それを理由にパフォーマンスを疎かにしたくなくて。

神ちゃんにこの不調の事を言ってしまえば、今まで何とか張ってきた糸がプツン、と切れてしまいそうで。

頼るのが怖くて、突き放してしまった。

「…………ごめん、」

ステージ下の自分専用の鏡の前で呟いた情けないくらいの小さな声は、勿論、神ちゃんに届くことは無かった。

_______________

「…ほいっ、」

ステージドリンクとタオルを流星に渡されてやっと、MCが始まったことに気がついた。

「ぁ、ありがと、」

正直幕が上がってからの記憶は殆ど無くて、自分がしっかり出来てたのかどうかすら怪しい。

皆が何か話してるのは分かるんやけど、その内容は一切入ってこなくて。

どうしよう、どうすれば。

グルグルと視界が回って倒れそうになる。

「…しげ、……よなぁ？」

誰かにガッシリ、と肩を掴まれ、ゆっくりと視界が戻ってくる。

俺の肩を掴んだ手の主は神ちゃんだとようやく気がついて。

「……ぇ、……何の話、？」

なんも聞いていなかったけれど慌ててそう言えば、メンバーからも会場からも笑い声が聞こえてきて。

良かった、なんて思うと同時に自分の不甲斐なさに息が詰まる感覚があって。

「……ふはっ、ごめんごめん、」

笑いながら、そう神ちゃんに目配せをしたんだけれど、その目線が合うことは無かった。