arc_en_ciel Ⅲ【虹】 (ページ14)

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暫くベッドに横になっていれば、コンコン、と控えめにドアが叩かれて、濵ちゃんが入ってきた。

「なぁ、…まだ大毅のせいやって思ってる？」

「…っ、」

俺らのおかんは、俺が物心ついた時にはもう居なかった。おとんに聞いても死んでんのか生きてるのかすら教えてくれへんかった。

そんなおとんも、10年前に急に具合悪くなって、直ぐに亡くなった。

おとんの友達やった濵ちゃんが俺らと一緒に住んでくれて、俺らを育ててくれた。

けど。

俺は、そんな家が大嫌いで。

高校卒業と同時に東京の大学へと進学を勝手に決めてもうて家を出た。

もうココに帰ることなんて無いと思ってたのに。

「あんな、大毅な？ホンマに喜んでたんやで、望が帰ってくるって聞いて。昨日なんて夜中まで寝やんかってん、」

「…」

何となく濵ちゃんの顔を見るのが気まずくて、寝返りを打って濵ちゃんから背を向けた。

「のぞむ、明日から3日間家空けるけど、やらなあかん事とか全部ノートにかいておくから、頼んだで？…おやすみ、」

その日はしばらく眠れんかった。