Aprikosen Hamlet ―武蔵野人狼事変― Ⅰ (ページ27)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:182,987 hit

平和島防衛線ページ27

A「…全員を受け入れるのは不可能です! 重傷の方を優先して下さい!」
入谷「彼には輸血が必要だ、至急手配を!」

聖「地に於ては食人種の彷徨、天に於ては漆黒の翼…これは、真の地獄が開かれてしまったのでしょうか…?」
A「警報! 戦闘機の破片が落下しますっ! 屋内に避難して下さーい!」
入谷「伊豆司教、患者の一人が行方不明だ」
聖「どなたですか? え…無敎様が?」
入谷「間違いない、レールガンを持っていた者だ。司教は彼と親しかったようだが、何か心当たりは?」
聖「あの方は確か、本門寺に取り残された御友人を、助けに行きたいと仰っていましたが、まさか…」
入谷「それはまずい…池上町は今、ゴーストタウンだ。この辺りでは、食人種の感染が最も多く、第四中隊は既に壊滅状態と思われる。彼の友達とやらも、生存の見込みなどあるまい…」
聖「これ以上、犠牲者を増やしてはなりません! 一刻も早く、長栄山への救援部隊を編成しましょう! そのためにも、ここ平和島での務めを果たさなくては…!」
入谷「ああ、急ごう!」
聖「万人が万人に対して戦う時、人間は人間に対して狼と成ります…もしそれが『自然』ならば、私達の為すべき事は…」
A「…よし、地対空ミサイルの電源が回復した! 僕達も、ポタージュ隊を支援します! 美保関少弐と﨔木長門を、ここで失うわけにはいかない!」

　Aが見上げた大空を、敵味方の戦闘機が次々と切り裂いて行く。そして、この血塗られた天空では、同盟軍の命運を握るエース達が、今この瞬間も戦場を舞う。