６．お返しするようです。 ページ8
＊
「いらっしゃいませ中原さん。あとは盛り付けだけなのでもう暫くお待ちください。」
「おう。……美味そうな匂いだな。」
中原さんは慣れた様子でいつものカウンター席に腰掛けると、すんすんと鼻を鳴らしていた。
キッチンからビーフシチューの香りが漂ってきているのでその為だろう。鼻を鳴らす姿が犬のようだと思ってしまったのは私だけの秘密だ。
さて、お客様もいらしたところで。
お皿にビーフシチューを盛り付けてカウンターへ。
ことり。中原さんの前にゆっくりとお出しする。作りたてなのでほかほかと湯気が立っている様子に、彼は目をキラキラさせていた。
ニコリと微笑んで「どうぞ召し上がれ。」と。
＊
「……美味ェ。手前なんで店員やってんだよ？」
彼の口に一掬い消えてから驚かれて、それから苦笑いとこの台詞。やったね。
褒められてニマニマしていたらカウンターを挟んで彼の手が伸びてきて、頭をわしゃわしゃ撫でられた。
ふふふ。嬉しい。
誰かに料理を振る舞うなんていつぶりだろう。しかもこんなに美味しそうに食べてもらえるのも。
スプーンがお皿にぶつかる音と、かかっているBGMだけが店内に響いているこの空間がとても心地良かった。
＿＿終わらなければ良いのに。なんて。
私のそんな淡い願いは中原さんの「ごちそーさん」という声で掻き消されてしまったのだが。
＊
その後店を出た私は、いつかのように中原さんの隣を歩いて家まで送ってもらった。
別れ際、「ありがとうございました」とお礼を言ったら「それは俺の台詞だ」なんて返ってきて。彼らしいなぁと思っていたら。
「また作ってくんねェか。」
あの青い瞳をまっすぐ私に向けて、彼は私にそう言った。
そんな彼になんだかとても嬉しくなってしまった私は。
「＿＿喜んで！」
さわさわと火照った肌を撫でる夜風が心地良かった、今日この頃です。
＊
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村人C - 神に祈りを(//∇//) (2022年6月8日 21時) (
レス) @page24 id: 22d4be940f (このIDを非表示/違反報告)
M - 凄く美しい（？）なんかもう言葉に表せない程好きです。神様素敵帽子君が尊すぎです。夢主の性格も可愛らしくて吐血しそうでした。もうトゥンクが凄いです！！ (2022年5月8日 15時) (レス) @page24 id: e7b90db1c1 (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 否、可愛いから付き合いたいな。危険は重々承知してますが。 (2020年6月12日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 『手前』ってか…可愛いね、中也ちゃん。 (2020年6月12日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
あっぷる(プロフ) - Uヒさん» コメントありがとうございます！ご満足いただけたようで良かったです！ご愛読ありがとうございました！ (2020年4月28日 10時) (レス) id: 9e41ced277 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あっぷる | 作成日時：2019年7月13日 2時
