「コーヒー。あとそれから手前。」【中原中也】

後日談４．幸せにしてもらうようです。 ページ24

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＿＿カランコロン。





午後六時半。人気のない店内に響く合図。こんな時間に来るお客様なんてもう決まっているけれど。

「いらっしゃいませ」と私が笑って言うと「もう閉店してんだろ」と彼も同じように笑うのが嬉しくて。


ささやかな私の幸せ。彼と ''同じ'' を共有している。


今だけは私と彼のお店。彼の手を引いて一番奥のカウンター席へ。

お昼なら絶対に出来ない芸当だ。だからこそなの
か、驚いた様子の彼に小さな笑みが溢れた。


「よく笑うな」と言う彼に、「貴方がいるからですよ」なんて台詞が言えてしまうのはきっとこの雰囲気の所為だ。



幸せの溜め息を一つ。

ああ幸せ。胸が一杯だ。口から吐き出さなければ内側から破裂してしまいそうなほど。


いつか彼の所為で死んでしまいそうと思ったことはあったけれど、このままでは幸せに殺されてしまいそうだ。死因、幸せ死。なんて。


ダメだ。どう頑張っても頰が緩んでしまう。そんな私に彼はまた笑っていて。ああ今日は彼もよく笑うなぁとぼんやり考えた。



この幸せがいつまでも続きますように。そう願った時。


彼は漆黒の小さな箱を取り出して。ぱかり。





＿＿キラリと光るそれは、永遠の証。





＊





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このお話をもちまして、この作品は完結となります。ご愛読ありがとうございました！

最後はこの展開で終わらせたかったのでなんとか書けて良かったです……


沢山な評価、お気に入り登録……etc。本当にありがとうございました！


p.s.新作はまたお知らせします。

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