１１．またご馳走するようです。 ページ13
＊
閉店後の閑散とした店内。聞こえるのは穏やかに流れる店内BGMだけ。何か物事を考えるには絶好の場所であると私は長いことこの店に勤めている経験から知っていた。
何かに吸い寄せられるように一番奥のカウンター席へと。ああやっぱり私、ちょっとおかしい。
ゆっくりと腰かけてから。それから思い浮かぶのはとある常連さん。
顔に熱が集まるのを感じる。何故だろう。……まぁそれを考える為にわざわざ閉店後にこうして居座っているわけだけれど。
＿＿私は今ちょっとおかしい。気が付いたらその人のことばかり考えていて、たまに見せる困ったような笑顔とか、楽しそうに笑うその表情とか、立ち振る舞いとか、その人の全てが気になって。
この気持ちは一体なんなのかな。
＿＿カランコロン。
ハッとして玄関に目を向ける。もう閉店時刻は過ぎているのだ。もし新規のお客様なら事情を説明して帰ってもら＿＿
ああもうなんで。貴方は私をどうしたいの。
＊
ぐつぐつ。野菜たちが鍋の中で優雅に踊っている。なんとなしにその様子を眺めていれば、思い出されるのは先程のやり取り。
「何か作るので、食べていかれませんか？」
「……いいのか？なら馳走になる。」
正直に言おう。料理をご馳走するなんてただの口実だ。私は彼と二人きりのあの空間に耐えられなかったのだ。つまるところキッチンに逃げた。私には耐えられない！
……急遽作ったカレーも完成した。否、してしまった。私はこれを彼にお出ししなくてはならない。
どくどくと五月蝿い程に脈打つ心臓と手の震えに目を瞑ってカウンターへと運んでいく。
＿＿やっぱりカッコ良い。何故だ。
「どうぞ……中也、さん。」
ただ名前を呼ぶだけなのにこれほど緊張するなんていよいよ私はおかしいのだろうか。誰か良いお医者様を紹介してください。
彼はじっとカレーを見つめて、ぱくりと一口。ああ心臓が五月蝿い。不味いって言われたらどうしよう。私のそんな内心を知ってか知らずか。
彼は私を安心させるように。
「んな不安そうな顔すんなよ。安心しろ、ちゃんと美味ェ。」
そうやって、また！また私の頭を優しく撫でたのだ！ああ死んでしまいそう。
＊
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良いお医者様で森さんが思い浮かんだ人は流石です。
１２．心中に誘われるようです。→←１０．尋問されるようです。
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村人C - 神に祈りを(//∇//) (2022年6月8日 21時) (
レス) @page24 id: 22d4be940f (このIDを非表示/違反報告)
M - 凄く美しい（？）なんかもう言葉に表せない程好きです。神様素敵帽子君が尊すぎです。夢主の性格も可愛らしくて吐血しそうでした。もうトゥンクが凄いです！！ (2022年5月8日 15時) (レス) @page24 id: e7b90db1c1 (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 否、可愛いから付き合いたいな。危険は重々承知してますが。 (2020年6月12日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 『手前』ってか…可愛いね、中也ちゃん。 (2020年6月12日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
あっぷる(プロフ) - Uヒさん» コメントありがとうございます！ご満足いただけたようで良かったです！ご愛読ありがとうございました！ (2020年4月28日 10時) (レス) id: 9e41ced277 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あっぷる | 作成日時：2019年7月13日 2時
