Stardust noise (ページ9)

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『現に昇る』ページ9

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「お姉ちゃん！！」

叫びにも似た声と身体を揺らす振動に意識が浮上した。パチパチと瞬きをすると、そこは生徒で賑わう教室ではなく誰もいない夕暮れの教室だった。

「あ、れ…？」

「よかった、やっと起きた……！！」

目の前には安堵の息をする白に近い灰色の髪で、サイドテール。後ろ髪はショートの女の子……ではなくこれでも男の子がいる。

「カストル君……？」

なんでここに……という前にカストル君が口を開いた。

「ちょうど教室覗いたらお姉ちゃん机に突っ伏して寝ててさ。もうそろそろ下校のチャイム鳴るから起こそうとしてるのにビクとも起きないし、挙げ句の果てに涙溢しながら『助けて』なんて寝言言うし…本当にヒヤヒヤしたよ？！」

「え、泣いて…？」

慌てて目尻に触れると湿った感覚がする。机を見れば濡れた痕も残っていた。
どうやら相当酷い夢を見たらしい。

「どんな夢を見てたの？お姉ちゃんが泣くくらいだから酷い夢だよね」

「いや、全然覚えてない」

いや、酷い悪夢を見たんだと自分でも分かる。でも内容が思い出せない。その部分だけごっそりと抜け落ちた感じだ。
どんな夢を見てたんだ一体……

と考えてるとポンポンとカストル君に頭を撫でられた。

「カストル君？」

「お姉ちゃんは我慢強いから、色々溜め込んじゃうんだよ。だから怖い夢もみちゃう。少しは誰かに頼ったりするのがいいんだよ」

「はは、ありがとう」

「あ、全然わかってないよね？」

ムスッとふくれっ面になったカストルはズイッと私に顔を近づける。

「一人で抱え込むのはダメだからね、あの時みたいなのにでもなったら僕怒るよ」

あの時と言うのは、話すようになってしばらくした後、バケモノに襲われ一人で窮地に立たされた時に助けて貰ったのだ。それ以来、さらに仲が良くなっている。

「うん。わかってるよ」

「ならいいけど……って、ほら、そろそろチャイムなっちゃう！！行こう！！」

腕を引かれ、慌てて2人で誰も居ない廊下を走る。

いつもはあまり好きになれない窓の外の赤い夕暮れの空が今だけは綺麗だなと思った。