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『noise noise』 ページ3

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モゾモゾと目の前のナニカガ動く。
つい先ほどまで、大切な人だったモノは今では恐怖の対象に過ぎなかった。
翼、腕、足が疎らに生え、原型と留めていないほどに姿を変えたバケモノ。


「あ、あぁ…」



少女はズルズルと腰を抜かし、腕を使って後退る。
現実を受け入れられないのかうわごとのように言葉を紡ぐ。



「お、とうさん、おかあ、さん、ゆき、と」



目の前のバケモノは家族だったモノだ。
先ほどまで、たわいもない日常を送っていたはずだ。当たり前の日々を過ごしていたはずだった。




「嘘だ嘘だ、こんなの、嘘だ」




首を振りながら少女は目の前の光景を拒絶する。
それでもバケモノは容赦なくジリジリと距離を詰めて行く。




《________!!》




声にならない悍ましい叫び声とともに腕なのかわからない歪なモノを伸ばされる。本能的に恐怖を感じた少女は叫んだ。



「嫌だ嫌だ嫌だ!!くるなぁああああ!!!!」




____ピキン



叫びと共に爆発した恐怖は一瞬で少女の中に眠っていたソレを目覚めさせた。



キラキラと部屋の中で白いモノが反射する。
ランプの光に反射されたのは、肉眼でもハッキリと見えた雪の結晶。



「……えっ…?」



フワリフワリと視界の端で布が踊る。
肌寒く思えば、今まで自分が着ていた服とは一変していた。
ざっくりと胸下から切り開かれたチューブトップスに両側にスリットの入ったミニスカート。黒と紺のブーツ。そして白に黒のラインが入ったマント。
黒かった筈の髪も、深海の海のような青みの強い紺色へ



そして、目の前で氷漬けにされたバケモノの姿




「……えっ」



状況が把握できない少女は思わず氷に触れた。軽く触っただけの氷が一瞬にしてピシリとひび割れ、ガラガラと音を立てて粉々に崩れ落ちる。




「!!!」





この時、少女は『自分が助かった』というよりも『自分が家族を殺した』という事に先に気付いてしまった。




「あ、あぁ、」




小さく粉々になった氷の欠片を一心不乱に搔き集める。けれど氷は溶けてやがて水となり、その水もすぐに乾いてしまった。




「あぁ、あ」




この手で殺した。




たとえ、バケモノになったとしても





私が家族をこの手で








コ ロ シ タ






「あ、あぁああああああああああああああああああああああ"あ"あ"あ"あ"!!!!!!!!!」






こうして魔法少女、《リゲル》は現れた。
不協和音の産声(ノイズ)を上げて。

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作者名:夜月 | 作成日時:2017年9月11日 22時

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