カフェオレ男子【昼神幸郎】

２７．夏休みその３ ページ27

あ、そういえば電話機能あったな、なんで私たち律儀に文面でしか会話しなかったんだろうか



なんて思いながら、いつもの如く流れるように通話ボタンを押してしまった



そんな私を出迎えたのは、やたら不機嫌な低い声の昼神だった





『ねぇ、どういうこと？』


「どういうことって何が」


『インターハイの時だけはそっち集中してって、今ラインで言ってたでしょ。あれどう言う意味？口説かれるのが嫌になった？』


「なんでそうなんの？！」





じゃあどういう意味だよ、と不機嫌そのままに問う昼神


いやいや、よくあることでしょうよ





「例えば、昼神が熱意を持って取り組んでいた習い事があったとするじゃない。でも、テストとか部活とか忙しかったらそっち優先するから、習い事はいけなくなる。だから、落ち着くまで習い事は控えるじゃん。それと同じだよ。大切な大会なんだから、優先してって思うの当然じゃん」


『………俺から逃げようとしてる訳じゃないよね』


「なんでだよ。だから、昼神の気持ちは充分わかってるから心配しないで言ってるし」


『は？あれくらいでわかったつもりでいられるの嫌なんだけど。俺の気持ち舐めすぎ』


「なんなの、さっきからどうしたんだよ君は」





なんか情緒不安定な昼神


この４ヶ月で広んな昼神と出会ってるけど、こいつ実は多重人格なんじゃなかろうか


ずっと笑顔で表情読めなかったり、急に優しくなったり、怒ったり、理不尽なくらい情緒不安定になったり、なんなの



全く理解出来ていない私に、昼神は電話の向こうで大きくため息をついた





『……あのね、前さ、俺が毎日毎日Aちゃんに会いに行ってたのは、Aちゃんが好きだからで、だから何もしんどくなかったって話したよね？』


「え、あうん、ｿﾀﾞﾈ……」





昼神の言葉で思い出すのは、あの修羅場かつ公開処刑の暴露大会。


昼神の気持ちを嫌という程教えられた、思い出すだけで未だに顔が赤くなる出来事。





『毎日口説いてるのも同じだから。俺はAちゃんが好きで、もっと話したいし、もっと自分の気持ち伝えたいって思ってるからやってることなの。そこに辛いとかしんどいとかないし、例え明日試合だったとしても無理してやってることじゃないの

もう一回言うよ。俺が、したくて、やってることなの。わかった？？』


「ｱ､ﾊｲ」


『だから何言われようと俺は連絡控えたりしないから。そこんとこわかっててね

今日も好きだよ。おやすみ！！！』






そう台詞を吐いて、昼神は電話を切った


やっぱりまだまだ私は鈍感で馬鹿だった



でもそれよりも、嬉しい気持ちが勝った


くそ、顔が熱い

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