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「
どうやら場が収まったようだと判断した執事と男は、揃って駆けだし、彼らが敬愛する伯爵の元へ近寄る。
執事は未だに跪く伯爵の手を引いて体を起こし、男は乱歩と伯爵の間に立って警戒の眼差しを向ける。
「
『落ち着きなさいベディヴィエール、そしてガウェイン。確かに大袈裟な感じもしたが、乱歩と私にそのような変な意図はない。これはそう……昔乱歩と共にやった《王と従者ごっこ》の続き、といったところだ』
「は………?」
ガウェインと呼ばれたその男は、警戒をやめてすぐさま伯爵に向き直る、
誰かに膝を付いて謝罪をする彼女を見るのが初めてであり、多少混乱しただけだろうと自分達を整理するが、大袈裟過ぎる伯爵も伯爵であり、止めない乱歩も乱歩である。
『さて、私の可愛い乱歩。ご機嫌は直して頂けたかな?』
「いーや、まだ許さないからね。ここら辺にあるありったけの駄菓子を掻き集めて差し出してくれるまで僕は機嫌を直さないよ!」
『おやおや、相変わらずお強請りが上手だね乱歩は』
執事とガウェイン……件の騎士が呆気に取られているのも構わず伯爵は再び乱暴に近付き、まるで幼い子にするが如く、彼の脇の下に両手を入れて、高く上に持ち上げてやる。
所謂「高い高い」であるが、殆ど身長の変わらない、そして年齢も変わらない2人がやるには少々歪な光景である。しかし、乱歩の子供のような性格と伯爵の大人びた性格が相まって、仲の良い姉弟がじゃれているようにしか見えない。
そして上記の会話の後、高く上げた乱歩から手を離し、重力に従って伯爵の体に落ちてくる乱歩を抱きとめ、そのまま抱き上げて無邪気に笑い合った
何が何だか、といった状況である。
太宰も、伯爵を知る2人も、その異様な光景を固唾を飲んで見守るしかなかった
「あ、そうそうA。気になったことがあるんだけど」
『うん?どうしたんだい、乱歩』
「あそこにいる金髪金目の男。昨日北米を騒がせた軍服の奴でしょ」
「!!」
乱歩の一言に探偵社全体が息を飲む。
そして視線は、皆騎士の方に向けられていた。
執事と騎士ですら、表情には出さないが少し焦っていた。
何せ、あの時の騎士には正体や素性を探らせないためのある異能が使われていたからだ。異能力無効の力を持つ太宰でもなければ、気付く筈もないのである。
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苺みるくラテ(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (7月5日 17時) (レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
きさらぎ(プロフ) - 更新嬉しいです!これからも頑張ってください! (2023年2月25日 22時) (レス) @page19 id: 3316933a16 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2023年1月16日 7時) (レス) @page18 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
瀬羅 - あのー、すみません。乱歩さんの『機嫌』が「期限」になってるな〜と思って報告しました。はい。 (2023年1月2日 8時) (レス) @page17 id: 3328415a9f (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - でんでんでんさん» ありがとうございます!夢主はイケメンを目指して書いてます!これからもよろしくお願いします! (2022年12月2日 8時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
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