西の名探偵 ページ41
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ーーーー私はどうやら、面倒臭いことに巻き込まれる星の元で産まれてきてしまったらしい。
一年の高専生徒を連れた実践形式の訓練にて。赴いた先、どこかこじんまりした旅館には黄色の規制線が張られている。
辺りを見回る警官達の話を総計するに、つい先程この旅館で殺人事件が起こったようだった。
そして、その張られたテープの向こう側。
青い服を着て眼鏡を掛けた少年と、浅黒い肌の青年がブルーシートの周りをうろついていた。
「ねーねー、刑事さん!あの椅子の下にこんな針が落ちてたよー?」
「っちゅーことは、犯人のトリックは針を使ったものってことやな!」
旅館の一室、犯行現場でウロチョロしてる少年の手には一本の針が。
はい、明らかなる呪物ですね、それ。
私は死んだ目をした。目を凝らさずとも見える禍々しい呪力の発露に、逆になんであの2人は何も感じていないのか気になるぐらいだ。
恐らくあの針の呪力に誘われた呪霊が、今回の被害を引き起こした原因であろう。
だから頑張ってトリックを暴こうとしている名探偵さん達には悪いのだが…………
「ーーーー……うん、これは私達の領分だね」
後ろを振り向き、私はこちらを向く2人を見つめる。
「俺達は何すればいいッスか!」
「悠仁くんと野薔薇ちゃんには、旅館に巣食う呪霊の討伐をしてほしい。 あの針の呪物を見るに、惹き寄せられたのは恐らく三級程度だと思うから、2人でかかれば確実に倒せるはずだよ」
「分かりました!……あ、じゃあAさんは……?」
「ーーーー私は………」
ちらり、と私は規制線の中へと視線を向けた。
そして、見つめてくる2人へと苦笑をこぼして、ピッと規制線の中を指差す。
「………あそこで、名探偵達と呪物の奪い合いかなぁ……」
「が、頑張って下さい……!」
「わ、私はAさんにもしもの事があったら、私呪霊とかほっぽり出して直ぐ助けにくるんで!!!」
心配してくれる教え子達に、思わずホロリと目頭が熱くなった。
本音を言えばあんな魔境に行きたくない。絶対取り返しのつかないことになる。
でも。だとしても。
呪霊のことを言うわけにもいかないし、そもそもあんな小さな子をこちら側に巻き込むことなど出来るわけがない。
私はため息を吐き、ぐっと緊張に拳を握りしめた。
今から向かう魔境で、私ほんとに正気を保っていられるのかな………。
「じゃあ、解散!」
「「了解です!!」」
掛け声とともに、2人は旅館の周囲の森へと駆けていく。
そうして私も、嫌々ながらに歩みを進めるのだった。
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リュウイ - 続編も見ました!!面白かったです!また続き待ってます! (2月8日 15時) (レス) @page50 id: 2148135a94 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - (Rin)さん» ありがとうございます!いつも見ていると言ってくださり嬉しいです☺️これからもよろしくお願いします! (1月5日 23時) (レス) id: df78d63940 (このIDを非表示/違反報告)
(Rin)(プロフ) - いつも見てます!応援してます!! (1月5日 22時) (レス) id: a9de1c3c9c (このIDを非表示/違反報告)
みるく - ゆゆさん» 本当にありがとうございます〜〜〜!!😭まだ分かっていなかったので嬉しいです!これからもどうぞ読んでくださいね🙇 (12月24日 9時) (レス) id: df78d63940 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです!! 続編の行き方なんですがまだ分からなければなのですがお話を追加の所が50話になると自動で続編へ移行に変わりますよ!続編でも頑張ってくださいね! (12月23日 18時) (レス) @page49 id: 2307c0fefd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みずき | 作成日時:2022年5月22日 17時