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第七十五話『鯱』天月千尋夜side ページ25

「ふう……何とか片付いたかねェ」
 他の二人を見ると、彼等は余裕に満ちた表情で崩れ落ちた肉片を見詰めている。やはり、彼等はこの状況を一度は経験した事の有る者達なのだろう。まあ、自分は今回初めての戦闘経験で有ったが、昔 スポーツを遣っていた経験が有り、身体能力は彼等にだって劣らない筈だ。あくまで、身体能力だけだが。
 ところで気になっていたのは、最初に出会った南蛮人の男達の正体だ。一人は高齢者の様で、もう一人は三十代辺りの中年男性であったが、二人からはどこか天才と云う一種のオーラが感じられた。彼等は力を与えた後、自らの名を名乗らずに消えた。千尋夜はそれが気になって仕方なかったのだ。
 すると、此方(こちら)を睨み付けてくる永久の後ろに、又 新たに青年が現れた。彼は気まずいと言わんばかりに此方に目を合わせようとしない。素直じゃないねと思っていると、彼は岩陰に身を潜めてしまった。仕方が無い。やはり此処は年長者である私が、ドンと解決してみせようじゃないか。千尋夜は岩陰に隠れている青年の元へ無防備で歩いて向かった。
 永久は丸腰な千尋夜に何か言いたげな顔をしたが、何も言ってはこなかった。
 岩陰に近付き、覗き込もうとした途端、短刀が千尋夜の目先ギリギリのところで止まった。短刀の矛先を向けられているのだ。
 「動いたら、死ぬぞ?」青年は脅すように、やや低音で言う。然し、千尋夜は全く恐怖の欠片すら感じないのか、短刀を直接 素手で握り、青年へ返した。青年は意外な行動に驚いたのか、目を大きく見開いている。
「年上は敬うのが常識ってモンじゃァないのかい? ほら、その物騒なモンしまいなさいな」
 そう言われても尚 矛先を向けてくる青年に、千尋夜は面と向かって言い放った。
「私は天月千尋夜って云うんだ。あんた、名はなんて云うんだい?」

第七十六話『隼』破沼真賀流side→←第七十四話『鯱』天野永久side



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ジグ(プロフ) - 終わりました (2017年3月18日 17時) (レス) id: 551194a6cd (このIDを非表示/違反報告)
ジグ(プロフ) - 更新します (2017年3月18日 16時) (レス) id: 551194a6cd (このIDを非表示/違反報告)
北斗七星(プロフ) - 終わりです (2017年3月18日 16時) (レス) id: 9ad4b46b38 (このIDを非表示/違反報告)
北斗七星(プロフ) - 更新いきます (2017年3月18日 16時) (レス) id: 9ad4b46b38 (このIDを非表示/違反報告)
鯉城@メイドラのエルマ赤穂浪士で死亡(プロフ) - 終わりましたー、次の方どうぞ! 本当だ、順位上がってますね笑 (2017年3月18日 16時) (レス) id: 38080604d2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海月 x他8人 | 作者ホームページ:( ˇωˇ )  
作成日時:2017年2月3日 22時

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