失い ページ27
西谷「だけど
勝手に諦めんのは許さねえよ」
その言葉私に向けて言われているのかと思って胸がドキリと鳴った。
東峰「………」
黙ってノヤを見る東峰の姿に胸が張り裂けそうだったと思っていたけど、私も多分東峰と同じ気持ちだったと思う。
田中「あ旭さんっ」
慌てて引き留める龍を見向きもせずに東峰は体育館倉庫を出て行った。
悔しそうに辛そうに唇を固く結び、爪痕が残るぐらい強く拳を握っているノヤに、私はなにもすることができなかった。
いや、何かしようと思わなかったのだ。
いつからか部員に自分の本当の気持ちを言わなくなって、迷惑をかけない様に行動していた。
でも果たしてそれは、本当に良い行動だったんだろうか。
心の底に自分の想いを押し込んで、偽りの思いを言い、本当の笑顔で笑うことなんて無くなって、鏡の前で作り込んだ完璧の貼り付けた笑顔で笑った。
そして、仲間を信頼しようとなんて考えたことがなかった。
それからは部活に行く意味が分からなくなってしまった。
廊下を歩いていると校長室側の方から大きな声が聞こえてきた。
気づいたら校長室側に向かって走っている自分に驚いた。
だんだんその声がはっきりと聞こえてきて、
？「アンタはまたスパイク決めたいって思わないのかよ！！」
そこで走っている足が止まった。
教頭の注意する声が聞こえるが東峰を引き留めている声を聞く限り、ノヤの声だと予想できた。
壁に隠れてチラリと顔を出すとノヤと東峰がいるのが見えた。
ノヤが教頭を突き飛ばして花瓶を落として割ってしまったことなんて、普段なら絶対驚くはずなのに今はびっくりするぐらい何とも感じなかった。
周りがザワザワしているはずなのにその声すら聞こえなくて
時が止まっているかのように思えた
そんな時、ノヤと不意に目が合った。
“ご め ん な さ い”
声に出して言ったはずだったのに、私の口からは声なんて一声も出なくて口をただ動かすだけになってしまった。
なんて情けなくて弱いんだろう
あの時はそう思っていた。
でも今思うと情けなくて弱いのではない。本当の自分に立ち向かうことが出来なかったのだ。
その時頭の中にふと黒川先輩の言葉が
“ 神無、お前は自分の気持ちを押し込みすぎだ。誰もお前の本当の気持ちを知って怒るやつなんていない”
あぁ、わかった。
何も言えなかったり、できなかったりしたのは
本当の自分を失ったからだ。
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さくみ(プロフ) - おかかのおにぎりさん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます！春頃の県民大会なんですね！ご指摘ありがとうございます！直してきます。本当にありがとうございます！ (2020年3月13日 3時) (
レス) id: 8ec2e6d345 (このIDを非表示/違反報告)
おかかのおにぎり(プロフ) - さくみさんいつも楽しみに見させてもらってます！！潔子さん好きの私にはサイコーです！！一応補足させて頂きますが、東峰さんが伊達工に捕まりまくったのは、春頃の県民大会であって、春高とは恐らく別物かな、と。上からに思えたらすみません！続編も応援してます！ (2020年3月12日 8時) (レス) id: 64b2331bfd (このIDを非表示/違反報告)
さくみ(プロフ) - みおさん» ありがとうございます！潔子さんの話あまりないですよね、私もそう思います！！更新頑張りますね！ (2020年2月20日 6時) (レス) id: 7862236ae4 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 清子さんの話ってあんまりなくて見つけてすごい嬉しかったです！！これからどうなっていくのか楽しみです！更新頑張ってください〜待ってます！ (2020年2月20日 0時) (レス) id: 68de5461dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくみ | 作成日時：2020年2月16日 8時
