困り事7つ目 ページ8
逮捕術。
日本古来の武道をベースに、被疑者及び現行犯を逮捕拘束する為に練り上げられた技術である。
攻撃手段はなんでもあり、己はもちろん、相手をも無傷で制圧するものである。
そんな逮捕術の訓練時。
伊達班長と当たったぼくは、あの大きな身体で繰り出される蹴りならばきっと防具があっても痛いんだろうな、と思い、まずは逃げに徹する事とした。
攻撃する時のパターンは、中学生の時から家にふらりと来てはぼくに愛の鞭だと指導をしてくれる叔父の手と似ているから読めている。さて、どう反撃に出るか。叔父に反撃した事がないから攻撃手段は読めても打ち込み方が分からない。
受け流していると、一向に攻撃しないぼくに我慢ならんとなったのか、攻撃手段が読まれていると悟ったのか、伊達班長が突然フェイクをかけてきて、しまったと思った時にはぼくは蹴られて床に倒されていた。
思わず頭を守る。あ、一本取ったら終わりなんだった。
あちゃー、と思いながらも班長の手を借りて起き上がる。
お前は筋肉が必要最低限しかなくて軽いから、吹き飛ばされて被疑者が逃亡する事になりかねない。もっと飯食って筋肉つけてしっかり強くなれよ。なんてアドバイスを貰いながら元の待機場所に座る。隣では降谷さんと伊達班長の勝敗を賭けていたが、結果から言えば勝者は伊達班長だった。
なんだか厳しい言葉をかけていたけれど、それ以上は何も言うことなく粛々と訓練を行い、あっという間に一日が終わった。
学生たちの中には門限まで外出するという人も居たが、ぼくは家族に電話する為公衆電話の前に居た。
「結です」
「指定した時間より5分も遅い。本当に愚図ね」
「すみません。前の方が中々終わらなくて」
「そう、まぁいいわ。アンタまだ給料は入らないの？」
「近日中に振込されると思う。確認次第、二人の口座に食費と携帯代以外は送金するね」
電話の向こうから聞こえる、初めてのお給料なのにそんなにくれるの。偉いわね。なんて褒める声。嬉しい。褒められた。
「でも高卒だし、大した額じゃないわ。ああ、本当に母さんよくアンタをここまで育てたと思うの。ねぇ結、アンタは愚図でどうしようもない穀潰しで親不孝者で何の役にも立たない社会のゴミだけど、こうして愛しい母さんたちの為に少しでも何かを遺そうとするのは本当に偉い事よ。その調子でアンタは目的をきちんと果たすの。良いわね」
「うん、その時は沢山褒めてね」
「そうね。沢山褒めてあげるわ」
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侑(プロフ) - ついに親友公開と爆処組に真実を、！！高木ほんと優しい…萩と松田も…更新楽しみにしてます！！ (2022年6月6日 5時) (
レス) @page45 id: 8afc6fd8a6 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - とても面白いです。更新頑張ってください❗ (2022年5月6日 18時) (レス) @page33 id: b70e4d72d6 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - またの更新楽しみにしています！ (2022年5月2日 19時) (レス) @page33 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
れぃと(プロフ) - おっ…!?ついに､ついにか……!? (2021年7月5日 22時) (レス) id: 40283c6b11 (このIDを非表示/違反報告)
深夜 - 夢主くんは幸せにして欲しい… (2021年7月4日 23時) (レス) id: b4c500a793 (このIDを非表示/違反報告)
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