扱い酷くないですか皆さん【文豪ストレイドッグス】

ツンデレ42 ページ42

敦視点

柚さんが拐われた。

其が判ったのは僕が出社して直ぐだった。

僕は普段携帯電話の電源は切っているから知らなかった。

「おい敦！柚が拐われた！」

国木田さんのそんな言葉で初めて知ったんだ。

僕は慌てた。

聞けば、最初は信じていなかったらしいが、写真が送られて来たらしい。

僕は急いで携帯の電源を入れる。

新着に二件。何方もポートマフィアの人達にも送られているらしい。

「そんな…」

「拐われたのは昨日の夜だね」

乱歩さんが推理する。

僕は、僕に出来る事は。

「落ち着け」

「社長！」

背後で声がして驚いて後ろを振り向く。

社長は直ぐ業務凍結と、目撃者の情報その他諸々の収集の指示を出した。

皆が、一体となった。

「太宰さん、大丈夫ですか？」

「…あ、嗚呼、大丈夫だよ敦君。済まないね」

太宰さんがこんな時にぼーっとしているなんて。

僕は、最悪の可能性が頭に浮かび、頭を振ってその考えを飛ばした。

「失礼するぜ」

ポートマフィアが来た。

僕達は身構える事もせず慌しく柚さんの捜索をしていた。

「其の侭聞け。どうせ手前等も捜索してンだろ。情報交換だ。柚の端末のGPSを追ったら、ヨコハマに居ない事が判った。其方の状況を教えろ」

「拐われたのは昨日の夜。そして怨恨では無い。其は君達ポートマフィアも判るだろう」

乱歩さんとポートマフィアの帽子の人が対峙する。

芥川は何処か悔やむような顔をして帽子の人の後ろに立っていた。

「芥川、何処で反応してるか判るか」

「……東京だ」

「とうきょう……」

確かヨコハマからは一時間で行けると聞いた事がある。

でもその一時間も僕達には長く感じた。

その時、僕達の端末が一斉に鳴る。

「此は……」

誘拐犯からだった。

柚さんは縛られ、顔や腕には複数の痣が出来ている。

近くにはナイフも転がり、彼女が泣きそうな顔でカメラを見ているのが判った。

僕は、目の前が真っ赤になった。怒っているんだ。

「……乱歩さん、何処か判りますか」

何も云わず、眼鏡を掛けた。

そして数秒の沈黙後、地図を取り出し或る一点を指した。

「この付近だ。未だよく見ないと建物の断定は出来ない」

東京は似たような構想のビルヂングが多いと愚痴る様に云う乱歩さん。

兎に角場所は大まかに特定出来た。

僕達は、急いでポートマフィアと車に乗り、東京へ向かった。

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