扱い酷くないですか皆さん【文豪ストレイドッグス】

ツンデレ15 ページ15

「美味しい」

と云って呉れた。

私はいつも一人だから大勢で食べるのが嬉しくて、少し張り切って作り過ぎてしまった。

あくちゃんや銀ちゃんは少食な為、デザァトを待っている間に広津さんと基次郎が沢山食べて呉れた。

案外、広津さんはよく食べる人の様だ。

「皆さーん、無花果のタルト出来ましたよ」

夕飯の後少しして、無花果のタルトが完成した。

沢山食べて満腹だ、と云っていた基次郎が起き上がり、檸檬も添えたいと云う為、基次郎だけ檸檬付きの特別仕様。

デザァトは別腹、というやつだろうか。

「あくちゃんお皿持ってって」

「……判った」

異能を使い慎重にタルトを切り分けたお皿を運んで貰う。

羅生門って意外と便利。

安定性も高いので私が持っていくより安全ですよ。

「芥川君も君と出逢って随分と丸くなったものだ」

広津さんが呟く。

お茶よりは珈琲の方が似合いそうだと珈琲を出したが予想通り絵になる。

基次郎はレモネヱドを自分で作っていた。

「そうなんですね…。あ、銀ちゃんとあくちゃんはお茶で良い？」

二人共頷いた為、二人にお茶を渡す。ついでに云うなら私もお茶だ。

五人でまた雑談をし乍(喋っていたのは殆ど基次郎だけれど)タルトを楽しんだ。

中々上手く出来たと思う。

「其にしても彼等とは如何だね？」

「探偵社の皆さんですか？」

不意に広津さんに声を掛けられ、私は広津さんの方に躰を向け返答する。

「まぁ、粗方中也君や立原君と同じ様な感じですね。賢治君や独歩君、社長なんかは普通なんですけど…其と事務員の友人とかも」

広津さんが溜息を吐く。

あくちゃんが“人虎…ッ”と憎らしそうにしている。

銀ちゃんは無反応。

基次郎は科学について語っているから無視。

「でも何時もの事ですし。あれ位で傷付いてたら探偵社で過ごしていけないですよ。…徐々辞めたいけど」

苦笑する。

辞めたいと云って辞められる程甘くはない。

辞められない理由もあるし。

「余り無理はするなよ」

「有難うあくちゃん」

黒獣が慰める様に擦り寄る。

でも操っているのはあくちゃん。優しさが身に染みた。

「其より基次郎、楽しくなって来たのは良いけど笑い声少し抑えて」

科学の事を考えているといつもこうなる。

もう慣れてしまった自分が居るし、基次郎と居るのは楽しいから嫌いでは無い。

五月蝿いけれど。

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