・Confession side_You. ページ14
3人をゆっくり見回すと、3人とも私に注目しているのが分かった。
こういうの苦手なんだけどな。
「精神科で、研修してた時ね、…ある男の人に出会ったの。普段は優しそうな方で、普通にしてたらどこに異常があるのか分からないくらい。」
「でもね、ある時、小児科に長いこと入院してる女の子と歩いてたら、いきなりその男の人が走ってきた」
嫌な予感を察したのか、横峯先生が小さく息を吸ったのが分かった。
──よかった。……私、落ち着いて話せてる。
「腕を、振り回しててさ、お前が殺したんだ、お前は仇だって言いながら走ってて。…1回は通り過ぎたんだけど、……ほら、精神科なんて誰かが歩き回ってるのとか、日常茶飯事みたいなとこあるじゃん」
「って思ったらいきなり、こっちに走ってきて。
今度は何かに怯えてるような顔してた。」
「隣に女の子がいたから、その子を庇って、その男の人が持ってたハサミで腕が、切れちゃってさ」
何針縫ったっけ？考えながら、そう言いながら長袖の袖をまくって3人に見せた。
しっかりケロイドの痕が残っている。
私もしっかり見たのは久しぶりで、自分の腕のようには思えなくて、どこか他人事のようにそれを見つめた。
「それで、私の腕にハサミ刺してそのまま…窓から飛び降りた。
今思えば、なんで11階にいたのかもわかんないけど」
「その時は、急いで下まで降りて、駆け寄った時、いきなり手を掴まれてすっごい笑顔で「ざまぁみろ」って、言われたの。その人に。……訳わかんないでしょ？」
「……私にとってその患者さんはただ精神科で初めて顔を合わせた、担当患者さんですらない、言ってしまえば顔見知りみたいな、……私も、未だに意味がわからなくて、…結局、その患者さんは助けられなかったんだけど、なんか、今でも時々その瞬間がフラッシュバックして、手が動かなくなるの……。人を助けるのが仕事なのに、情けないよね、…怖いんだ」
3人からの視線が痛い。
「そんな、……1人でそんなに、、」
「でもまぁ、こうなったのは私のせいだから。
…ごめん、変な話して」
「倉橋先生……」
横峯先生が心配や同情をしてくれているのは分かるけど、今はそのどれも嬉しくないと思ってしまった。
曖昧に笑って、お酒で流し込む。
──その沈黙を破ったのは、やっぱり名取先生だった。
(※続きは後ほど更新します！(たぶん)(無理だったらごめんなさい))
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作者名：シェリー | 作成日時：2022年3月2日 0時
