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その後もイナズマイレブンの調子はイマイチであり、豪炎寺の"ファイアトルネード"がゴールへ突き刺さった。
｢修也かっこいい〜今のマックスとの連携見た？｣
｢……能天気ね、あなた｣
｢こればっかりは考えても仕方ないよ｣
さっきまで眠そうにしていたAだが、愛しの幼なじみの勇姿は見逃さない。相変わらず見たいものしか見ない天使様である。夏未がため息混じりに半眼を向けるが、Aはへらりと笑ってみせた。イナズマイレブンのサッカーへの想いを他人がどうこうできるものではないことはわかっている。いくら伝説だなんだと呼ばれようと、この試合で力を発揮しないのならばそれは過去の栄光でしかない。虎は眠ったままでは戦えないのだ。
｢お前たち、なんだそのザマは！｣
すっかり覇気のなくなっているかつてのチームメイトを見渡した響木が一喝した。
｢俺たちは伝説のイナズマイレブンなんだ。そしてここに、その伝説を夢に描いた子どもたちがいる！ 俺たちには、その思いを背負う責任があるんだ。その思いに答えてやろうじゃないか、本当のイナズマイレブンとして！｣
仲間を鼓舞する響木の姿は、現在の雷門イレブンのキャプテン･円堂を思い起こさせる。響木が円堂の祖父の背中を見ていたのだとしたら、それもおかしくはない。イナズマイレブンの監督であった円堂大介は、サッカーのことしか頭にない男だったというのだから、孫の円堂守と大差ないだろう。世代は移り変わるというのに、脈々と受け継がれるサッカー魂。実に面白いものだ。
｢本当の、イナズマイレブン……｣
先程から円堂の言葉に揺れている様子だった浮島が呟いた。
｢俺は、俺たちは……｣
｢｢無敵の、イナズマイレブン！！｣｣
イナズマイレブンの目に闘志が宿る。ようやく、眠れる虎が目覚めた。何処ぞの幼なじみの如く遅いが。
｢証明しようぜ、伝説は真実だと！｣
｢おう！｣
ここからは、見応えのある試合が見れそうだ。
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作者名：おひめ | 作成日時：2022年9月24日 12時
