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｢いいか！ 今日は胸を借りるつもりで、思いっきりぶつかっていこう！｣
｢おう！｣
円堂の言葉に皆が答える。ホイッスルが鳴り響き、晴天の下試合が始まった。先攻はイナズマイレブン。キックオフした瞬間、ボールを持つ備流田が動く。
｢小僧どもよく見ておけ、これがイナズマイレブンのサッカーだ！｣
｢キックオフシュート……！｣
何と、開幕早々シュート体勢に入った。しかし、空振って後ろに転ぶ。
｢えぇ！？｣
｢あ……｣
｢ハハハ、参ったなぁこりゃ｣
備流田が打ち損ねたボールを半田が奪い、雷門イレブンの攻撃。特に苦戦することもなく、豪炎寺のノーマルシュートが入った。
｢すまん響木、クリアしようとしたんだが……｣
場寅の失態に、夏未が頭を抱える。
｢雷門家の人間として恥ずかしい……｣
その後もイナズマイレブンは調子が出ないようで、雷門イレブンの攻勢が続いた。何ともおかしい。サッカーをするのが40年ぶりだとしても、ここまで覇気がなくなるものだろうか。髪村のシュートを止めた円堂の表情も暗くなってくる。
｢これが、伝説のイナズマイレブン…｣
彼らのプレーは、技術が衰えたというよりやる気がないというのがしっくりきた。目に闘志が宿っていないのだ。つまらないことこの上ない。
｢……眠い｣
｢あはは……｣
ついにベンチでうとうとし始めたAに、秋が苦笑する。
｢円堂。全然すごくないぞ、この人達｣
｢……｣
何か言いたげにイナズマイレブンのメンバーを見つめる円堂に、浮島が歩み寄った。
｢これで分かっただろう。伝説のイナズマイレブンは、もう存在しないんだ｣
｢伝説なんて関係ないよ！ どうしていい加減なプレーをするのさ！ こんな、魂の抜けた試合して…おじさんたちが大好きだったサッカーに対して、恥ずかしくないの！？｣
｢！｣
円堂の視線から目を背ける浮島。期待し過ぎていたと言えばそれまでだが、この試合で得るものは無さそうだ。
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作者名：おひめ | 作成日時：2022年9月24日 12時
