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特訓とは言えど、必殺技のイメージすらないため、取り敢えずクレーン車を手配し、高所から落ちてくるサッカーボールを蹴るという意味があるかも分からないことをするしかなかった。Aも秋と共に木陰から部員を見守る。すると、そこに雷門のユニフォームに着替えた土門がやって来た。
「よっ! どう? 似合うかなぁ」
「似合ってるよ」
決めポーズを取る土門に、秋が答える。土門は次に、彼女のすぐそばに座っているAに目を向けた。
「Aちゃんだっけ?」
「あ、うん」
「豪炎寺の幼なじみなんだよな。改めてよろしく!」
「よろしくね、土門」
気さくに握手を求めてきたのでそれに応える。やはり、拭えない違和感があった。土門はAに心から「よろしく」と言っている。親愛の情を持っている。彼の言葉に一切の嘘はない。しかし、それだけではないという違和感。不思議なことに、それが不審感ではないことはわかる。何かがどこかで違うのだ。
考え込んでいることが表情に出ないようにやり過ごそうとするも、彼は会話を易々と終わらせてはくれなかった。
「Aちゃんはサッカーしてるのか?」
「今はしてないよ。どうして?」
「円堂がAちゃんのシュートはすごいって話してたからさ。帝国の"デスゾーン"を止めた"ゴッドハンド"を破ったんだろ?」
「まだ円堂の"ゴッドハンド"に安定感がなかったからだと思う。どんどん進化するからね、円堂のサッカーは」
「へえ……」
自分のシュートが特別凄い訳ではないと伝えたつもりだが、何かを含ませた相槌を返され、また微かな違和感を持つ。しかし、それは土門の幼なじみである秋や彼を歓迎している円堂に申し訳ないから、これ以上疑念を広げたくはない。
曖昧に微笑んでいると、切り替えの早い土門が今度は秋に話題を振った。
「秋、またサッカーに関わってるんだな」
「……あ、みんながんばって!」
不自然に話題を逸らす秋に首を傾げる。いつもサッカー部を陰ながら支えるオリジナルマネージャーたる彼女にも、もしかしたら何かがあるのかもしれない。ぼんやりとそんなことを考えた。
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おひめ(プロフ) - マナさん» こんばんは。ご質問どうぞ( ⑅ᴗ͈ ᴗ͈)♡ (2022年8月5日 20時) (レス) id: 955601ba91 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 質問よろしいですか!? (2022年8月5日 18時) (レス) @page21 id: 0955411d0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おひめ | 作成日時:2022年7月28日 19時