【inzm】雷門の天使様２ (ページ16)

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｢止めました円堂！幽谷の"ファントムシュート"を止めました！｣

　ゴールを守り抜いた円堂にディフェンス陣が駆け寄る。

｢見たか、俺の"熱血パンチ"！｣
｢ああ！ ……じゃなくて、どうして動けたんだよ？｣
｢風丸さんも動けてるっス｣
｢壁山、お前も｣
｢えぇっ｣

　彼らを見るに、どうやら"ゴーストロック"は完全に解けたらしい。
　尾刈斗中の攻撃陣のころころ変わるフォーメーションに、尾刈斗中監督の地木流が｢止まれ｣という暗示を加える……それが"ゴーストロック"の真相。つまり、噂に上がった試合も今回の試合も、選手たちが動けなかった原因は、視覚と聴覚に働きかける一種の催眠術だったのである。そして、地木流がしきりに雷門を挑発していたのも、冷静さを失わせるため。目金の説明に納得したAが感心したように頷いた。

｢なるほどね。それにしても、催眠術を大声で相殺するって……さすが円堂、面白すぎる｣
｢面白がってる場合じゃないですよ、まだ試合は終わってないんですから｣
｢攻撃陣(あっち)は修也と染岡が何とかすると思うよ。連携必殺技とか作っちゃったりして〜｣
｢それはあり得ませんね、仲違いしてますし｣

　円堂らしい圧倒的なゴリ押しを目の当たりにして、鼻歌でも歌い出しそうなくらいご機嫌な様子のAに、目金が半眼を向ける。秋と春奈は、好奇心や感情の赴くままに試合を観戦、というよりも人間を観察するAの姿を見て、何事にも縛られない真っ白な翼を持った天使を連想した。

｢Aは興味のあることしか見ないし聞かないしやらないから、いっそ清々しいわね｣
｢これぞ人智を超えた天使様……｣
｢残念、人間でーす｣

　もはや恒例となりつつ返事をして、改めて試合に目を向ける。目金は豪炎寺と染岡の連携はあり得ないと言ったが、果たしてどうなるか。

｢あの二人、割と仲良くなれる気がするんだけどなぁ｣

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