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｢たった今帝国学園から試合放棄の申し出があり、ゲームはここで終了！｣
審判の言葉で、実質的な雷門の勝利が決まった。秋や春奈と手を取り合って喜んでいたAは、廃部の危機を逃れた雷門イレブンを見遣る。
皆、傷だらけながらも晴れやかな笑みを浮かべていた。昔からAのヒーローだった豪炎寺が、雷門のヒーローになったことが感慨深く思える。
皆に囲まれる豪炎寺は、初めて雷門のユニフォームを着てあのメンバーに交ざったにも関わらず、どこかしっくりときた。まるで最初から雷門に居ることが宿命づけられていたかのようだ。
｢よく来てくれたな、これで新生雷門サッカー部の誕生だ！ 豪炎寺、これからも一緒にやっていこうぜ｣
｢……今回限りだ｣
｢あっ豪炎寺……ありがとな、ありがとう!｣
嬉しそうに言う円堂に、10番のユニフォームを脱いで押し付けた豪炎寺は、ベンチにやって来る。
｢A｣
｢制服ね、はい｣
｢悪いな｣
何事も無かったかのようにAから制服を受け取り着替える豪炎寺。彼の無表情に複雑な心境を感じ取ったAは、敢えて明るく振る舞うことにした。
｢修也｣
｢なんだ｣
｢すごくかっこよかったよ｣
｢…………そうか｣
｢何今の間｣
｢なんでもない、俺は先に帰るぞ｣
｢了解〜｣
ひらひらと手を振って戦い終えた幼なじみを見送ったAが振り向くと、何故かサッカー部員と秋と春奈にじっと見つめられている。
｢？｣
｢ちょっと俺察してしまったかも｣
｢俺も｣
｢お二人の空気感、癖になりそうです！｣
半田、風丸、春奈の意味が分からない言葉に首を傾けたAだが、見ているうちに選手が傷だらけであることを思い出した。
｢みんな、怪我は？ 無茶ばっかりして……｣
｢これくらい平気だって｣
｢そうそう、気にすんなよ｣
｢無茶ってお前に言われたくねえな｣
｢言えてる｣
Aの心配そうな声色に、二年生でそれなりに関わりのある面々が答える。身体的疲労は兎も角、精神的には問題が無さそうで何よりだ。
｢さあみんな、見ろよこの1点!この1点が、雷門の始まりさ。この1点が、俺たちの始まりだ!｣
キャプテン円堂の掛け声に、雷門イレブンは全員で人差し指だけを立てた手を掲げ雄叫びを返す。
そう、これが太陽と仲間たちが織り成す伝説の一ページ目だった。
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作者名：おひめ | 作成日時：2022年7月14日 17時
