【utit】甘く甘く溶けるまで (ページ9)

今日:5 hit、昨日:11 hit、合計:84,465 hit

めいちゃん × 看病ページ9

貴女 side

定時。自分の仕事はもう終わった。いつもなら仲のいい先輩の残った仕事を手伝ったりだとか同僚と飲みに行くだとか話すとこだが今日は生憎そんな気分じゃない。倦怠感と頭痛。昼を過ぎた頃から喉もヒリヒリとし始めた。

(んー風邪かな、、、？)

早く帰って早く寝よう。そうすれば治る。
そう考え「お先に失礼します。」と一言残し帰路に就く。
まずいこれは本当にやばい気がする。頭の痛みで意識まで朦朧とし始めるが倒れる訳にもいかないのでなんとか自宅までたどり着くと無事に着いた安心感に体は限界を迎えたようで玄関先の廊下で力尽きた。

・

パタパタと響く足音と額に乗せられた冷温に目を覚ます。まだ頭がぼーっとする。

『あ、起きた！？』

その声で意識がはっきりとする。

『どっか痛いとこある？なんか欲しいもんは？』

私のそばに駆け寄るや否や質問を捲し立てる人物。

「め、ちゃん……？」

『うん。めいちゃんだよ！声出しにくいかな、水飲もうか。』

そういうとコップを口元へ運んでくれる。相当水分を欲していたようでただの水がかなり美味しく感じた。

『昨日の夜ね、Aから［助けて］って一言だけメッセージ入って、まぁじでびびったんだから。それから車飛ばしてAの部屋入ったらスーツのまま倒れてて』

あ、勝手に着替えさせてごめんね？と言う彼とまだ働かない頭でごめんね。と一言

『ん〜ん、謝らんで？さ、なんか食べれそ？食べれそうならお粥作るけど』

「お雑炊がいいな、、、」

『ん、わかった。』

ちょっと待っててね？そう言って腰掛けていたベッドから離れていこうと手を着く。一人になるのが嫌で思わずその袖を掴んでしまう。

『ん？どした？』

「あ、いや、いかないで、、、」

消え入りそうな声で、申し訳無さげにそう呟くと

『んも〜！あんま可愛いことしないで、、、』

大丈夫、すぐ戻るからと頭を撫でられる。寂しい気持ちをグッと堪えて彼の袖を離す。

彼が寝室を離れてからしばらく経った。また熱が上がってきたのか、頭が割れる様に痛む。
そっと目を閉じ彼を待つ。